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カテゴリ:言語・文化・コミュニケーション
(これは2010年10月10日夕方に、ソフィア会SNSに書いた日記です。)
今夜初めてNHK大河ドラマ「龍馬伝」をじっくり見てみようと思う。多分私が龍馬伝をじっくり観るのは、今日が最初で最後じゃないかな。 私も含めて、高知県人は「龍馬伝」が高知の偉人「坂本龍馬」の話だから観ているのであって、龍馬伝に対してあまり熱狂的ではないようだ。私も最初2回は、キッチンで料理している時にチラリと龍馬伝を垣間観た(・・・というより垣間聞いたというべきか・・・)だけである。 これは龍馬伝が、「史実と異なる『作り話』に徹している」「土佐弁が若干おかしい/わざとらしい」ということもあるだろうが、坂本龍馬の「熱狂的な」ファンは、県外の人が多いというのも理由の1つだと思う。 もちろん高知県人は「郷土出身の偉人」として、坂本龍馬を誇りにしている。だが、それだけなのだ。県外の熱狂的な龍馬ファンのように、「龍馬を崇め奉る」「龍馬をお手本とする」という感じではない。 高知県出身の有名な女性漫画家のなかには、 「偉大なのは、龍馬じゃなくて、(『竜馬がゆく』を書いた)司馬遼太郎!」 という1こま漫画を書く人さえいる。 (← 某新聞でこの1こま漫画を見た高知県人がほとんど全員納得したのは、 ほぼ間違いないと思う・・・) 高知には本物の龍馬のような人(ハンサム福山龍馬君が演じる知的で柔和な龍馬ではない)が、レベルは違えど、その辺にゴロゴロしているような気もするが・・・ただし、龍馬と違って評価されない。龍馬のような偉業を達成しないと、やはり評価されないのだ。 偉業なんて、なかなか達成できるものではないから、その辺がやはり龍馬の偉大なところかとも思うのだが・・・ 何はともあれ、高知県人は「ハンサム福山龍馬君」が演じる「龍馬伝」で、坂本龍馬のファンが増え、高知に観光客が増えるのを期待している。そして、今から来年の観光客の落ち込みを危惧しているのだ。 龍馬伝で高知に来てもらって、 本物の土佐の高知の良さを味わってもらう。 コレが高知県勢の狙いである。 そのため、龍馬伝が実態と違ってもあまり気にしていない。実際に来てもらって、本当の高知を見てもらって、高知のファンになってもらえば良いのだ。 (←ある意味では、凄い自信である。) ま、そんなわけで、私も今まで龍馬伝を見ていなかった。 が、龍馬伝の視聴率が低落気味と聞いて、母に聞いてみた。 「龍馬伝、面白くない?」 「ん・・・まぁまぁ。」 「ハンサム福山龍馬君が頑張ってる?」 「最近、また格好良いのが出てきて頑張ってる。」 「そんなに格好良いの?」 「そう。」 「誰?」 「高杉晋作。白洲次郎役をやった俳優さん(=伊勢谷友介)」 「高杉晋作って、高知出身じゃないよね・・・」 「違う・・」 「・・・残念だね」 「・・・うん。」 高杉晋作の出身県に観光客が行くかな~と思いつつ、そんなに格好良い伊勢谷晋作君を是非見てみたいと思った。 今日は、その高杉晋作君が死ぬ回だそうだ。龍馬伝を1回ぐらいじっくり見ても損はあるまい。しかも、龍馬伝の「2大美形」が共演する最後の回だ。 しかし、龍馬伝は男性キャラで持ってるなぁ・・・高知県男性は内心、「龍馬伝の高知の男は、実際の俺らより格好良い」と思っているらしく、その点でも何も言わない・・・ 自分を実態よりも良く描いてくれるものに対して、あまり文句は言わないものだ。笑 女性キャラも悪くないようだが・・・ でも、高知の女性「はちきん」を代表する龍馬の姉「乙女姉やん」役の女優さんは、明らかにミス・キャスト。 「乙女姉やん」は、高知では龍馬と同じくらい人気がある。龍馬が高知県男性の代表なら、乙女姉やんは高知県女性の代表なのだ。自分達の代表は、自分達よりも格好良く、自分達の理想像に近いイメージであるべきなのだ。 高知は、豪放磊落で男性的な気風である。 理想とする女性も、「気が強くて明るくて可愛い女」。 (←性格だけでなく、できれば容姿も美人が良い!) こういう女性を高知では「はちきん」と言う。 (「気が強い」と言う表現は、高知ではポジティブなニュアンスがある。一種の誉め言葉なのだ。「ウチの女房は気が強うてのう・・・」と言われたら、ノロケられていると思って、まず間違いない。) 高知の典型的な性格として、男性が、言い出したらきかない (=自分が正しいと思ったら絶対に主張を曲げない)『いごっそう』なら、 女性は、『はちきん』。 『大和なでしこ』とは正反対の「凛々しくて、明るくて、才気煥発で、気が強くて、いざとなったらスパーン!とタンカを切るような女性」が好きなのだ・・・ そう、高知県勢は、「そそ」と泣く女性は嫌いである。 泣いたりしようものなら、 「まっこと情けないのう。泣く暇があったら、何かせい!」 そう言われるのがオチだ・・・ これは「よさこい踊り」を見てもわかると思う。手足を思う存分伸ばし、ジャンプし、派手な衣装で堂々と踊りまくる。自分の個性を徹底的に出して踊る。 華やかではっきりしたのが好きなのだ。 それが・・・高知の代表的な「はちきん」女性である乙女姉やんが・・・ 「それでも男か、情けない。私が男だったら、切り込んでいく!」と、 今から160年以上も前の封建時代に、男女不平等とされる時代に、 弟の龍馬に平手打ちを食らわせたとも言われる乙女姉やんが・・・ 「もんぺが似合う地味な演技派女優であること」がセールスポイントの寺島しのぶが演じている。 泣いた。正反対のキャラではないか。 確かに演技派だろう。うまいだろう。だが、役にはイメージというものがある。高知の『はちきん』女性代表「乙女姉やん」を演じるキャラではない。 美しく凛々しく時にはタンカをスパーンと切るのが似合う女優さんに演じて欲しかった・・・ これもあって、私は今まで龍馬伝を見る気が起こらなかったのであった。(もしかすると、他の高知県人もそうかも・・・) 自分達の理想とは正反対で、しかも自分達より醜く演じられている自分達の代表「乙女姉やん」なんて、誰も見たくない・・・龍馬伝で他の役を演じている高知出身の美人、広末涼子か島崎和歌子が、乙女姉やんを演じるべきだった・・・ 今年、福山君、香川君(岩崎弥太郎役)、広末さん、島崎さんの4人は、高知県内の龍馬伝イベントで引く手あまただったと聞く。しかし、乙女姉やん役の寺島しのぶが高知にイベントで呼ばれたと言う話は聞いたことがない。万が一呼ばれていたとしても、多分この4人に断られて、イベントのアトラクションが人数不足に陥った場合だろう。 「地味で醜いけれど、もんぺを履いて地道に頑張る、とてもけなげな女性の役」を誇りとする寺島しのぶ(彼女はそれで賞をもらっている)は、美しくて凛々しい乙女姉やん役を断るべきだった。「私にはできない」と言って。「役のイメージが違う」と言って。「私では乙女姉やんのイメージを汚す」と言って。プロの女優なら、乙女姉やんの役柄をチェックして、自分が演じられるかどうかを考えるべきだった。 それとも寺島しのぶは、自分とは正反対の役柄であることを百も承知で、「親の七光り」(彼女は歌舞伎の娘)で、「乙女姉やん」役をもぎ取ったんだろうか。NHK大河ドラマだから? 案の定、寺島しのぶが演じる乙女姉やんは、その得意とする持ち味を存分に発揮して、地味で醜くて存在感がなく、乙女姉やんとしては最悪だった・・・ あれが私達の代表なんて、ちょっとショック・・・ あれが、60代や70代でも、真っ赤なドレスを着て、堂々と闊歩する高知女性の代表・・・ でも、今日は「寺島しのぶ」の負の影響よりも、イケメンの「福山龍馬君」と「伊勢谷晋作君」が勝ったのだ。この2人、今まであまり好みではなかったが、ちょっと見てみよう。素敵かも。私の周りの女性のほとんどは、甘くて優しいマスクの福山君か、男性的で凛々しい瞳の伊勢谷君のどちらかがお好みなのだ。 さぁ、あともう少しで放送だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.10.15 04:41:09
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