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カテゴリ:言語・文化・コミュニケーション
今、実務翻訳者として稼げるのは、
上智外英時代とその直前に学んだ英語学習法と 金融機関の総合職として働いた当時に身につけた金融知識のおかげだと思っています。 少なくともこの2つが基礎になっています。 外英時代の私の英語力なんて、大したことはありませんでしたが、 上智外英に入学するために、受験勉強で『英語で英語を理解する』ということを学びました。 (ただし、大したことはないとは言っても、上智外英に「一般入試枠」で入学した当時でも、 確かTOEIC 900点くらいはあって、国内出身の日本人としては、英語ができた方だったと思います。ちなみに、当時「帰国子女枠」で外英に入学した女子学生は、入学当時、既にTOEICが満点近かったはずです。) 私は国内の進学校出身で、 上智外英には珍しい国内組の純ジャパ(大学入学まで長期海外経験がない人の俗称)でした。 この進学校では、英作文の先生がアメリカ人でしたが、英作文の力は全くつきませんでした。苦笑。 授業中、クラス全員で騒ぎまくって、 (←授業が退屈だった。 英語で何をしゃべっているのか、意味はわかったけど・・・)、 「Be quiet!」 (←「ええい!静かにせい!」という感じだった・・) ・・・と毎週全員が延々怒鳴られたことだけが、記憶に残っています。 それで実践的な英語力が欲しくて、上智外英に入りたくて、高校2年の時に1年間、高校の紹介で、1(先生)対2(学生)で、キリスト教のカナダ人牧師さんとベルギー人の牧師さんから、日曜学校で毎週2時間、英会話を学びました。(念のために言うと、私は仏教徒です。) でも、日曜学校の英会話の授業も、週1回の英会話なんて、英会話の訓練としては何の足しにもなりませんでしたが、それ以降、おそらく一生役立つことになったのが、日曜学校で身につけた英語の発音の基礎。 カナダ人牧師さんが、毎週1時間、英会話の基本構文と共に、徹底的に英語の発音を叩き込んだのです。口の開け方から息の仕方まで、本当に徹底的に。 進学校で使っていた英語のreader本の文章も、カナダ人牧師さんにテープに入れてもらって、丸暗記しました。 イギリス上流階級系のカナダ人牧師さんで、本当に上品で綺麗な発音でした。 アメリカ英語では、特に下層階級では、Tなどが訛ることがありますよね。 たとえば、「not at all」が「ナラロー」という風に、かなり汚い発音になりますが、こういう俗っぽい発音とは正反対で、どこに出しても恥ずかしくない発音を叩き込んでくれました。 しつこいほど発音に固執したカナダ人牧師さんには、今でも感謝しています。 特に私は英語のこもった発音(「あ」のこもったような発音)が嫌いで、 絶対マネしなかったので、しつこく何度も真似させられました。 何で日本語の「あ」の発音じゃダメなの? 日本語の「あ」でも、英語で意味は通じるでしょう? 英語のネイティブの人も、こもった音で発音なんかしないで、 美しくてクリアな日本語の「あ」で発音してほしい。 (←英語のネイティブが聞いたら、絶句しそう・・・) ・・・みたいな感じでした。笑 でも、カナダ人牧師さんは、私の発音をしつこく直し続けました。 何10回でも直してくる・・・遂に根負けして真似しました。 ところで、私は美しい日本語が好きだったので、サザンオールスターズの格好つけた英語風の日本語発音が嫌いでした。メロディと桑田佳祐の独特の節回しは好きだったんですが、あれで発音が綺麗な日本語ならどんなに良かっただろうと思っていました。 (←しかも、英語ができないのに変に英語で格好つけたところが、逆にダサくて格好悪いという感じ・・・唯一きちんと発音できる母語の日本語の発音を崩して歌うなんて・・・) それで、上智外英時代、大学の女子寮にいたアフリカ系米国人の女の子が、サザンオールスターズの桑田佳祐の英語の先生をアルバイトでしていましたが、その子が、「His girlfriend is ugly(=原ゆうこは醜い)」と言った時に、サザンに同情しませんでした。 サザンが憧れて音楽や発音を真似しているアフリカ系米国人に、自分達がugly(醜い)と言われていることを知ったら、サザンはどう思うだろうなと思いました。 母語をおろそかにした報いかも・・・なんて。笑 でも売れて音楽界で確固たる地位を獲得して、解散した今のサザンにとっては、もうどうでも良いことでしょうけれども。 (ちなみに、これを聞いたある女子学生は、このアフリカ系米国人に向かって心の中で、 「あなた、人のこと言えるの?鏡を見たことあるの?」と思ったそうです。) この寮は最初、寮生の半分が、主に白人系アメリカ人やアジア系の女子学生達でした。 彼女達と一緒にあちこち遊びに行きましたっけ・・・ (ただし、その後、寮生は主に日本人とアジア系の留学生だけになりました。戒律に厳しいスペイン人のシスター達と、アメリカ人女学生達の価値観が、全く合わなかったんですね。) この寮の経験と上智外英の授業で、特に英語力が身についたわけではありませんが、 後に自分で「楽に」勉強を続けるための方法を学ぶことはできました。 私が入学した当時の上智外英は、女子学生のレベルが男子学生より遥かに上で男女一緒だと授業にならないと言う、男子学生にとってはかなりキツイ理由で、まだ男女別クラスでした。 (女子学生は入試をほとんど満点で突破して入学してくるのに、男子学生は80%の得点率で入学してくると言われていました。) 後に英語力別のクラス編成にするために、英語のplacement testの結果でクラスを決めるという、更に厳しいクラス分け制度が実施されました。上智外英は実力主義で、力のない者はないなりに、力がある者はあるなりに扱うという態度が徹底しています。 皆、『上には上がいる』というのを身をもって実感しているので、英語が母語の帰国子女の学生でも、英語ができて得意がる人はいませんでしたね・・・。英語が母語の帰国子女は、英語が母語の米国人や英国人の家庭で育った「知的レベルの高い英語のネイティブの米国人や英国人の英語「と、日本語の家庭で育った自分の英語を比べるわけです。 その男女別クラスで、視聴覚学習法というのをやっていました。映画やテレビを自分で聞き取って演じたりするんです(当時は市販されている英語の台本がほとんどありませんでした)。 今でも覚えているのは、別のグループが演じた「屋根の上のバイオリン弾き」・・・ ユーモアたっぷりで面白かったので、 彼女達が演じたオリジナルの映画をかなり後になってから観ました。 卒業後に自分で映画やテレビを聞き取って演じることはありませんでしたが、映画やテレビをかけっぱなしにするということは、かなりやってみました。正直、週1時間の英会話や読書よりも遥かに効果がありました。 かなり前から言語学習で「かけっぱなしの効果」が言われていますが、かけっぱなしにしておく効果は確かにあると思います。ただし、話している単語を知っている、予め台本や日本語訳で内容や単語がわかっている場合に、特に学習効果が高いようです。 金融機関の総合職時代も、それなりに英語を使いましたが、これもあまり英語力はつきませんでした。 その後、厚生省の特定疾患(難病指定)の腎ネフローゼになり、 3年間ほど寝たきりになった時、いつも英語のテレビをつけていました。 朝から晩まで。 体を動かすと再発するのですから、 テレビを見るか、腹這いになってパソコン(PC)で翻訳をするしかなかったのです。 翻訳だけしていると飽きて逆に集中力が落ちてきますから、私がとった方法は、英語のテレビ番組のビデオ(当時:今はDVD)をかけっぱなしにしながら、PC画面で翻訳をすること。 これが、凄まじい効果がありました。 目や頭は主に、翻訳する英語の原文を見て読んで理解しているのですが、耳からはテレビの別の英語が飛び込んでくるのです。 まず、耳が徹底的に慣れてきます。 元々聞き取りは、日本人にしてはかなりできた方でしたが、 毎日本当に朝から晩まで聞いていると、聴覚レベルが違ってくる・・・ 目で翻訳の原文の英語を理解しつつ、 同時に耳から入ってくるテレビの英語も瞬時に理解する。 言語の二重回路がある感じ・・・ 昔は批判された「ながら族」も捨てたものではないな・・・と思いました。 私が、本当に英語力がついたな・・・と思ったのは、このときです。 数ヶ月でもう全然違っていました。死にかけていた3ヶ月間以外はいつも聞いていました。 死にかけていた3ヵ月間は、エネルギー不足で聴覚が使えなかったので、ダメでしたが。 (正常で強い健康状態の時には、おわかりにならないかもしれませんが、 「聴く」にはエネルギーが要るのです。年をとると静かで体に優しい音楽が好きになるのは、精神面が変化しただけではなく、体のエネルギー・レベルが低下しているせいもあると思います。私も体の状態がよくて元気が良い時は、アップ・テンポの曲を聞きたくなります。) 英語のかけっぱなしを10年間以上続け、毎年100万ワード以上、総計1000万ワード以上を英語から日本語に訳してきた数年前に、やっと自分が満足できる水準まで英語をマスターできたかなと思い、英語以外の次の言語を本格的に勉強しようと思いました。 今英語でやったことをフランス語とドイツ語でやろうとしています。ただし、耳だけで。笑。仕事で英日翻訳や日英翻訳をしていますから、目はやはりPC画面で英語を読んでいます。 フランス語とドイツ語はあくまで趣味、今のところフランス語とドイツ語の翻訳者になるつもりはありません。いつかロシア語と中国語も、趣味で勉強してみたいと思います。 ちなみに、映画とテレビでは、テレビの方がしゃべり続けて会話の密度が高いので、 基本的にはテレビをかけっぱなしにした方が、力がつきます。 今、数ヵ国語の吹替が入っているスタートレックの欧州版DVD(ボイヤージャーや新スタートレック)をアマゾン・ドイツで買って、フランス語とドイツ語で聞いています。 スタートレックは米国のテレビ番組で、原文が英語です。フランス語やドイツ語はその吹替版です。吹替で話しているフランス語やドイツ語の台詞と全く同じではありませんが、字幕もフランス語やドイツ語で出ますから、フランス語やドイツ語の聴き取りの参考になります。 フランス語やドイツ語でわけがわからない箇所は、欧州版DVDに原語として入っている英語の台詞や英語の字幕を参照にできます。英語ができて別の欧州言語を学習したい人は、欧州版のDVDを買ってパソコンで再生しても楽しいかもしれません。(日本と欧州はリージョン・コードが同じなので、パソコンでは再生できますが、日本のDVDプレイヤーで再生できるかどうかは不明です。) 果たして私のフランス語やドイツ語は、この方法でどのくらい伸びることやら・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.07.01 23:11:49
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