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Pussy Cat Sophie (子猫ソフィの猫物語)その他

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2016.01.18
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原文を原文で理解する。たとえば英語なら英文を英語の頭で、日本語を介在させずに理解する。多分、プロの実務翻訳者(=翻訳会社経由で企業や公共機関などの翻訳を引き受ける人)は、少なくともこのレベルに達していなければならないだろう。

でも大抵の日本人は、英語の構文や表現を理解するために中学時代や高校時代にやった英文和訳の方法で、英語を理解したつもりになってるんじゃないかな。

つまり、中学生や高校生の英文和訳とは、

1. 英語の単語を日本語の単語に置き換える。
2. その置き換えた日本語の単語を日本語の文法に従い、日本語の文章を構成する。
3. その構成した日本語で、原文の英語の意味を類推する。

英語を理解させる目的で作成している日本の中学校や高校の英語の教科書は、この方法でも英文本来の意味を把握できるような英文を選んでいるが、実際にプロの翻訳者に依頼される英文は、この中学生や高校生の英文和訳方法が通用しないものが多い。

中学生や高校生の英文和訳の方法では、前述の3の段階で類推した意味と英文本来の意味が、かなりズレることがある。1つ1つの英単語と日本語の単語の意味や使用法が、ほとんどの場合、完全には一致していないからだ。

最初の英単語→最初の日本語の単語に置き換え(ここで意味や使用方法に誤差が発生)、次の英単語→次の日本語の単語(ここでも意味や使用方法に誤差が発生)・・・と1単語、1単語置き換えているうちに、全体として大きなズレが生じることがあるからだ。

元々同じ言語だった英語とドイツ語では、意味や使用方法が一致する単語が多いが、日本語は英語と根本的に語源が違うので、英単語=日本語の単語の「1対1」の対応は、最近のカタカナ用語以外、まず無理だ。

単語レベルの置換えでは意味不明で、英文全体で意味を理解しないと意味がわからないこともある。

ところが、不況でここ数年間に翻訳業界に他業界から流入してきた翻訳者の中には、前述の中学生や高校生の英文和訳が正しい翻訳だと思っている偽翻訳者がかなり混じっている。彼らは英単語を1単語ずつ日本語の単語に置き換えて構成した日本語の文章(=直訳)から、英文本来の意味からズレた意味を類推して、そのズレた意味の方が正しい意味だと思っている。

ある程度、英語の読解力があれば、たとえ自分で英文の意味を英語で理解できなくても、「日本語を介在させずに、英語を英語で理解して意味を把握し、微妙なニュアンスまで訳出した意訳」が、「この意訳、英文本来の意味を確実に捉えている」とわかるが、ほとんどの人はその水準にさえ達していない。(これがプロの水準に達していない偽翻訳者と呼ばれる理由である。)

偽翻訳者は英文を英語で直接理解できず、「自分が作った直訳の日本語から類推した意味」が正しいと信じ込んでいる。不運にも(翻訳会社、クライアント、プロの翻訳者にとって)、偽翻訳者が低賃金を武器に翻訳の編集や品質管理を担当してしまった場合、「自分が直訳の日本語から類推した英文の意味」と「その英文本来の意味」が違うと、ほとんどの人が「あれ?(自分が直訳で把握した)意味と違う。なんでこんな訳になるの?この訳、おかしい」と、正しい意味の訳を自分が把握したズレた意味の誤訳に、ほぼ100%変更している。英文を理解できないので、「正しい意味」がわからないのだ。

彼らは自分の低レベルがわからないほどの低レベルだ。逆に、あるレベルに達した人は、自分が低レベルであることを自覚できる。自分が低レベルであることを自覚している人は、それなりにレベルが高いと言える。

不運なことに、最近偽翻訳者によるこの種の改悪が、かなり見られる。こういう「原文の意味を把握できず思い込みで直訳から原文の意味を想像する人」がプロの翻訳プロセスに参加すると、翻訳が滅茶苦茶になる。

以前、「英日翻訳で英語力と日本語力ではどちらを重視するか」については、敢えて言うなら日本語を重視すると書いたことがあるが、英日翻訳でも、少なくとも英語を英語で把握できるだけの英語の読解力が、プロの翻訳者には必要だと最近実感している。プロとしてはTOEIC900点と英検1級は当たり前。しかも、英検1級やTOEIC900点はプロとして最低クリアしていなければならない出発点で、実際にプロの実務翻訳者で生き残るには、この水準を遥かに超えた水準が必要。英検1級スレスレの力だと、バイリンガルの外資系企業クライアントに叩き潰される可能性大なのだ。

もし万が一英語で英文を理解できないのに、仕事でたまたま翻訳や通訳をする羽目に陥ってしまった人は、自分が日本語に置き換えて理解した意味が英文の根本的な意味と違う可能性があることを徹底的に自覚して取り組んだ方がいい。自覚していれば、いろいろ対策を立てるので、大恥をかかなくて済むかもしれないからだ。

偽翻訳者による改悪の具体例については、また機会を改めて書こうと思う。(かなり凄まじい改悪です。笑)





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Last updated  2016.02.07 23:12:04
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