奥日光余聞
先週末に奥日光を訪ねた話を前回のブログでご紹介しましたが、そこで書きそびれたクラフトビールの話題をひとつ。旅の初日(8/14)は、昼頃に東武日光駅前で集合予定でしたが、駅に着いてみると東武バスの電光案内板に「神橋まで30分(通常5分)、中禅寺湖まで80分(通常45分」とあり、市内の道路は渋滞している様子。そうこうするうちに、埼玉方面から車で向かっていた1名が日光市内に近づいたところで渋滞にはまったという連絡があり、改めてお盆休みの混雑ぶりを思い知らされることに。仕方がないので、少しでも時間を節約しようと集合場所を神橋近くにある金谷ホテルに変更。電車組もメインストリートをトボトボと歩き始めたところ、確かに車がびっしり列をなしていてほとんど動きません。(目的地まで約1.4 km、人の足でも2-30分というところなので、この渋滞で路線バスもほぼ徒歩と同じという状態。)というわけで、予定より1時間以上遅れて全員が集合したところで、休憩を兼ねてホテルのメインダイニングで昼食を取ることに。差し出されたドリンクメニューを眺めていると、今風にクラフトビールの項目があり、4種類ほどが並んでいます。いずれも馴染みのないブランド名でしたが、その中の1つはドラフト(生)とあったので、迷わずそれを注文。飲んでみると、柑橘系の爽やかな香りとホップのフレッシュな苦味のバランスがすばらしく、亭主の好みであるセッションIPAのような味わいです。(こういう思いがけない出会いが「地ビール飲み歩き」の楽しみ)早速メニューにあった「モンキーズ・ペールエール」という名称をググってみると、どうやらご当地日光のクラフトビールらしきことが判明。醸造所のウェブサイトによると、このペールエールとプレミアムラガーの2種類があるようです。さて、長めの昼食を終えて、いろは坂を車で中禅寺湖畔まで移動。菖蒲が浜(2005年ごろまで毎夏のように来ていた日光プリンスホテル[2008年に営業終了]が遺跡のように残っている)や竜頭の滝を少々ぶらついた後、いよいよ湯元温泉へと戦場ヶ原の脇を走っていると、途中に見覚えのある三本松茶屋という大きな休憩所(お土産屋)が目に留まりました。先を急ぐ旅でもなく、ひやかしにと車を止めて入ってみると、店の一角に置かれた冷蔵陳列ボックスにクラフトビールがずらりと並んでいます。当然のように「モンキーズ」の瓶も並んでいて、連れ合いと「あ〜これこれ」などと話していたところ、背後から「クラフトビール、いかがですか?ご説明しましょうか?」との声。振り向くと、脇で焼き鳥を焼いていたお兄サンが「そのビール、私が作っているんです」と笑顔で話しかけてきました。後でわかったことには、件の「ザ・日光モンキーズ・クラフトビール」、実はこの「(株)三本松茶屋」が2018年に立ち上げたマイクロブリュワリーで、亭主がつい先ほど頂いたペールエールは国内のクラフトビールコンクールで金賞をもらったというご自慢のビールでした。(金谷ホテルのメインダイニングの出し物として採用されただけのことはあります。)冷蔵ボックスにはもう一つ、「日光ベルジャン・ビール」というブランド名の瓶が並んでいて、こちらも三本松茶屋さんのオリジナルビールだそう。なんでも開発にあたってベルギー大使館(中禅寺湖畔に別荘もある)の関係者の協力を得たということで、いろいろな香りを仕込んだビールが4-5種類置いてあります。その中で亭主の目を引いたのが「山椒セゾン」。こちらはまだできたばかりとのことですが、お兄サンの「開栓しただけでフッと山椒の香りが鼻を抜ける」との売り文句に押されて、先のプレミアム・ラガーともどもお買い上げとなりました。それにしても、この数年来のクラフトビールの隆盛には目を見張るものがあります。しかも比較的若い人たちが、それぞれの地域に根ざして醸造からブランディングまでを担っているという点で、このブームが小さいながらも地方経済を活性化させる目になれば、と大いに期待するところです。