創作童話「ゴーチェット」
今日は学校が午前終わりだったのでエルニスの家にポルトと遊びに行ったエルニスはヴァルナーゼという楽器で「ゴーチェット3楽章」を弾いて見せた学校の音楽の先生でもなかなか弾けないゴーチェットをいとも簡単に弾くエルニスに僕とポルトは盛大な拍手を送ったすると、ぽふぽふぽふ。もう一人拍手する人がいた。ゴゴガ博士であるゴゴガ博士は語りだした「猫族の古典音楽にその名を刻む「ゴーチェット」。猫だろうか人だろうか神だろうか?ゴーチェットという名前すら偽名という説もある。彼はいったい何者なのか?私は「神人」という仮説を立てて論文を書いているが一向に相手にされないよ。」「エルニスならわかるかい?」僕は意地悪な質問をエルニスにしてみた。エルニスはひげを少ししごき、静かに語りだした「3楽章には彼の人生が記されている。一楽章、彼は人間として生きていた。才能は無いが聡明な人間だった。フマン民族のそこそこな幸せに彼は満足していた。二楽章、彼は不幸な人生に苦しみつらねる、教の呪いが彼を不幸のどん底に叩き落とす。彼は極限まで苦しみ連ねた、自分で自分の命を奪おうと思ったくらい。3楽章、彼は神に出会う。わずかな期間、神と一体化し神の道を歩き始める。孤独だが、孤独ではなかった。才能は無い様に見えて天才だった。3楽章はここで終わっている。希望と喜びに満ち溢れた人生を歩み始めるところまで。彼がどのような半生を歩み、後の世でどのような評価を受けたのか、知るものはいない。内緒にしていたが、僕はチル家の遠戚なんだ。」「だからカナルディア図書館に入れたんだ」ポルトがつぶやいた。「見られていたかい?」ペロリとエルニスは舌をだした。チル家は猫族の王である。初代『チル』は不遇により子供を作ることが出来なかったという。転生を繰り返し最愛の友である『ハル』を守り続けていると伝記には載っている。「じゃあ、エルニスはハル様の顔を見たことがあるのかい?」僕は聞いてみた。「その質問には答えられない。代わりに一曲聴いてくおくれ」エルニスは無言で弾きだした。「『ポルイットの薗』だ。猫族にとっての約束の地、ハル様と出会える場所。永遠の安らぎの大地。」ポルカ・ポルナ・ポルイット、ポルカ・ポルナ・ポルイットそう口ずさみながら3人はエルニスの家をあとにした。続く