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テーマ:首都圏の鉄道(136)
カテゴリ:鉄道
先週末、宇都宮へ出張に行った際、
僕の乗った電車が到着したホームの反対側に、 話題の電車が発車待ちをしていました。 蓄電池車両ACCUM(アキュム) posted by (C)まさやん6312 昨年春から、JR東日本の烏山(からすやま)線という路線で走り始めた、 『ACCUM(アキュム)』という電車です。 単純な電車ではなく、車両に蓄電池を搭載。 ということは、つまり、電気を供給する架線が無くても、 車輪のモーターを回すことができるわけです。 ということはどういうことかというと、 電車を走らせるための地上設備を大幅にカットできる、 ということです。 一般的に、電車は架線から供給される電気を 車両の屋根に取り付けられたパンタグラフから集電し、 走らせています。 そして架線に電気を供給するために、 一定の距離を置いて変電所を設置しています。 電力会社から供給される電気は超高圧なので、 電車に電気を供給するためには、 これを低圧に落とす変電設備が必須なんですよね。 電化されていない路線に電車を走らせるとなると、 これら架線や変電施設の設置が必須なので、 数百億円の投資額が必要。 勢い、費用対効果の話となり、 どの非電化路線も電化工事をするわけにはいかないんです。 ところが、電化していない区間を走る列車は、 軽油を燃料とするディーゼルカー。 石油価格は経済的、政治的な理由で乱高下しますし、 環境的にもよろしくないので、 できれば電車を走らせたいところなのですが、 前述の事情もあって、なかなか電車化が進まない状況があります。 それを打開するのが、この『ACCUM』なんですね。 この車両にもパンタグラフがあるので、 架線が張られた区間はパンタグラフを上げて 電力供給を受けますが、 非電化区間に入るとパンタグラフをたたみ、 内蔵の蓄電池で走ります。 終点の駅には、一部区間に架線が張ってあり、 折り返し時間の最中にパンタグラフを上げて 充電を行います。 こういう運用にしておけば、 架線をほとんど張らなくて済みますし、 変電施設の設置も最小限で済むため、 電車を導入しやすくなるんですね。 まだまだ実験的な要素もあるので、 比較的距離が短いJR烏山線に導入されたわけですが、 これが一定の成果を出すと、 他の非電化路線でも導入されていくのだと思います。 特に地方のローカル私鉄にとっては、 今のままだと運行経費が圧迫され、路線廃止もあり得るので、 この蓄電池車両 の運行による利便性向上と 経費の節減は、またとないトピック。 あと、架線がないことから、 線路の上空がスッキリし、景観が良くなる効果もあります。 都市部の路面電車で採用されれば、 街中の景観もはるかに良くなります。 そのうち、全国の至るところで走り出すのかもしれませんね。
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