中国高速鉄道のフェール・セーフはどこへ行った?
今週は『日本の新幹線礼賛』週間として日記を綴っております(笑)中国の鉄道首脳が豪語していた「わが国の高速鉄道の技術や安全性は世界一だ」というセリフにほのかな怒りが湧いていたのと、今回の大惨事を見るにつけ「ほーら言わんこっちゃない。そもそもおたく(中国)は、同じ土俵にすら立ってないんだよ」ということを主張する「度量の狭さ」(笑)にほだされての行動です。さて、日本に限らず鉄道の世界には『フェール・セーフ』の原則があります。この概念はもともと航空機の設計で生まれた思想で、何かトラブルがあっても「常に安全側に動作する」ように設計に盛り込むこと。たとえばジャンボジェット機は4基のエンジンがありますが、トラブルでたとえ1基しか動作しなくても安全に着陸できる設計になっています。TAKE OFF 安全飛行への招待価格:5,250円(税込、送料別)そして鉄道の『フェール・セーフ』は、「何かあったらとにかく停車」が思想信条になっています。鉄道の運行がストップするというトラブルが発生して、それがテレビや新聞で報道されたときに、「信号が赤のまま切り替わらなくなり……」というフレーズがあります。鉄道施設にはありとあらゆるセンサーが仕込まれていて、どれか1つでも異常な動作や信号を検知したときには、即座に周辺の信号を赤にするしかけが施されています。そうすると走行中の電車は停まらざるを得ません。仮に運転士がブレーキ操作を怠っても、車両側が自分でブレーキをかける仕組みになっています。【送料無料】列車制御価格:2,310円(税込、送料別)駅に停車中の列車も、前方が赤信号だと発車できません。運転士が運転開始の操作をしても、車両側は言うことを聞かない設計になっています。そうして列車をすべて止めておいて、本来の原因調査をする。すると、レールにヒビが入っているとか、山際で土砂崩れが発生していたとか、信号ケーブルが劣化して断線気味になっていたとか、そういうもともとの原因が明らかになるわけです。もしこの事態を放置して列車を走らせていたならば、とんでもない事故を引き起こしかねません。なので鉄道の世界では「疑わしき状況になったらとにかく列車を止める」ことが大原則になっています。しかも止めるからには安全にかつ速やかに止めなければならない。在来線の場合ではトップスピードの時に「急ブレーキをかけて700mで停まること」、新幹線の場合で「2kmで停まること」が原則であり、これが技術的に保証できなければ、最高速度を引き上げることは許可されません。日本でも新幹線に限らずいろんな鉄道でスピードアップが図られていますが、同時に必ず「安全かつ速やかに停める方法」も検討されます。で、この停める方法が見つからない場合、スピードアップそのものが国土交通省から許可されないのです。中国の高速鉄道は「最高速」にこだわりすぎ、「最高速から安全に速やかに列車を停める」研究がおろそかになっているんじゃないでしょうか。それに冒頭の『フェール・セーフ』。これは全世界の鉄道で適用されている思想のはずですが、先行列車が停まっていることが検知できずに、後続列車が追突している状況は、この『フェール・セーフ』がまったく機能していない。センサーが故障していたのか、あるいはセンサーの配置がおかしかったのか。そのあたりのところは推測しづらいのですが、『フェール・セーフ』よりも『トップ・スピード』にこだわったがゆえの今回の大惨事であることは間違いありません。