山手線にもホームドア
しばらくぶりに鉄道の話を。山手線の恵比寿と目黒のプラットホームにホームドアが設置されたというので、恵比寿駅へ観察に行ってきました。ホームドアは、線路とホームを物理的に遮断することで乗客の落下や飛び込みを防いだり、天井までしつらえられたドアだとホームの空調効果を高める狙いもあります。香港やシンガポールの地下鉄のように、海外の鉄道では古くから普及しているのですが、国内では新交通システム(東京では『ゆりかもめ』、関西では神戸の『ポートライナー』等)で設置されていたものの、一般の鉄道ではなかなか普及しませんでした。同じ線路をいろんな種類の列車が走っていて、列車によって車両のドア数とか位置が異なるとか、営業中の路線に設置するのはあまりにも費用が高くつくとか、費用がかかる割に増収にはつながらないからとか、そういったことが理由になっています。ところが10年ほど前に東京メトロ(地下鉄)で南北線が新規開業した際、ワンマン運転を行うためにホームドアを設置。その後、新規開業の副都心線や、営業中の丸ノ内線にまでホームドアが追設され、数年前に新規開業したつくばエクスプレスにも装備されたことで、いよいよ国内の一般の鉄道にも普及の兆しが見えてきています。そしてJR東日本も満を持して、何と山手線に導入することを決めました。管内の路線中、人身事故の割合が最も高い路線であり、乗客の安全性を高める効果は絶大だ、というのがその理由です。ホームドアも、初期の頃は天井まで透明アクリル板を張った、完全に線路とホームを遮蔽するタイプだったのですが、今どきは大人の胸の高さくらいまでの壁で仕切った簡易な仕様が一般的になりました。今回設置された山手線のホームドアも簡易版。これだと導入費用も圧倒的に安くなるそうです。それにしても、日本の通勤地獄を象徴していた路線の一つが山手線であり、素早く乗降客をさばいて素早く発車させる、というテクニックが要求される超過密路線。ホームドアが設置されると、ドアの開け閉めは通常の倍以上の時間を要することになり、かなり悠長な話になるのですが、そんなホームドアがクリティカルな山手線に導入されるあたり、時代は変わったなぁ、と鉄ちゃんとしては感心することしきりです。やはりそれだけ安全が云々される時代になった、ということなんでしょう。ちなみに昨夜は京王線の新宿駅で電車を待っていた老人が、フラフラの泥酔男体当たりされ誤って線路に転落。そこに入線してきた電車に巻き込まれて亡くなるという痛ましい事故がありました。仮にホームドアが設置されていれば、こういう悲劇は防ぐことができたはずです。なお山手線の恵比寿と目黒の2駅のホームドアはとりあえず試験的な設置。効果測定を見定めつつ、向こう7年間をかけて全駅に設置する予定。ずいぶんと時間がかかるものですが、これには理由があります。その話はまた後日。JR東日本山手線車内&駅ホーム自動放送 完全オリジナル音源集価格:2,249円(税込、送料別)