ハイパーインフレの衝撃
今、国の借金は1,000兆円をうかがうところまで来ているそうです。1,000兆円……気の遠くなりそうな額ですね。毎年10兆円を返したとしても、完済には100年かかる計算です。にもかかわらず、現在の与党は郵政問題だけをとらえても、大きい政府を志向している。このまま放置すれば、いよいよ日本は財政破綻を来し、おそらくは国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれます。一気に最貧劣等国に成り下がってしまうのです。数年前、韓国が通貨危機を起こしてIMFの管理下に入りました。そのときは韓国の破綻がまことしやかに語られていましたが、今、彼の国はそんなことがあったなんて信じられないほど躍進し、今や日本よりはるかに元気な国として蘇っています。そういう事例がすぐ近くの国でありますから、仮に財政破綻をしても、何とかやり直せるのではないか。考えてみれば、60数年前のわが国は、戦争に負けてどん底の最貧国に落ちぶれたのに、その後の経済成長ぶりは「東洋の奇跡」とも称される大躍進だったではないか。戦争で焼け野原になり、何もかもなくなってしまった当時に比べれば、まだ相応の生活が保障されている今の方がはるかにマシである。そういう楽観論で捉える向きもあるでしょう。しかし、ここでとんでもない落とし穴というか、事態が考えられます。それが「ハイパーインフレ」。想像を絶するインフレーションが起きる懸念があるんです。実際に60数年前の戦中と戦後の間で日本はハイパーインフレを経験しています。僕のアバウトな記憶ですが、確か戦前・戦中までの10円の貨幣価値は、戦後の1,000円に匹敵する、と。どういうことかというと、戦前までは10円で買えたものが、戦後は1,000円出さないと同じものが買えない。つまり貨幣価値が100分の1になったわけです。これを現代に当てはめるとどうか。1,000円のランチが10万円になる計算です。しかも給料や年金の金額は大きくは変わらない。一挙に中流以下の国民は日々の生活に困る羽目になる。上流の市民も安穏としていられません。収入はほぼ同等の金額で、支出はべらぼうな額になりますから、結局、日々の生活のために貯金を切り崩すことになります。どれだけ蓄えているかにも寄りますが、上流家庭でも自己破産するケースが出てくるでしょう。かくして、国民から巻き上げた膨大なお金は国庫に環流します。1,000兆円の借金がなくなるまで。これはもはや『平成の徳政令』ですね。翻ってみれば、全国民の資産は今や1,400兆円とのことですから、このなかから1,000兆円を国が巻き上げる、という構図です。以上のストーリーは、今週の『日経ビジネス』に掲載されていました。かなり衝撃度の高い、しかも近未来に実際に起きうるシナリオです。2014年日本国破産(警告編)