世界の秩序と自分の成長
素晴らしい人生を送る前提として、だいたいの人は、自分の周囲をとりまく環境にウェイトを置きがちです。つまり、収入は多ければ多いほど良い、とか、自分に関係する人は相応の見識を持ち合わせているべきだ、とか、世の中は平和であるべきだ、とか。逆に言えば、収入が少ないことや、周囲の人が劣っていることや、争いごとを否定しているわけで、それは『秩序が保たれていない』と考える向きが多いですよね。僕もそう考える一人でした。ところが、前にも紹介したことがある人生の哲学を諭した作家、ジェームズ・アレンは、この考えを真っ向から否定しています。収入が多い人もいれば少ない人もいる、賢人もいれば愚人もいる、気高い人もいれば貧相な人もいる、平和な国もあれば、来る日も戦闘を繰り返している国もある…。彼は、このような混沌とした状態そのものが『世界の秩序である』と説いているんです。収入が少なく、周囲は貧相な愚人ばかり、そして日夜争いが絶えない、そんな環境の中で、心ある人は自分自身の行動はいかにあるべきか、ということを考えるんだそうです。ジェームズは、「自分の周囲の環境を見たり感じたりして自分を律する」ことがよりよく生きるための糧であり、「その周囲の環境を律することばかりに腐心しているうちは、輝かしい未来は永遠に来ない」とも言っています。「混沌とした状態が『世界の秩序』」という言葉に、僕の脳の中では大きなパラダイム・シフトが起きました。会社の中でも、「自分の思い通りに動かない人間」、「自分の思い通りに行かない仕事」、多々、そういったことにぶち当たります。「自分の思い通りにいけば、どんなに効率よく充実した人生が送れるだろう」と考えがちです。でも違うんですね。自分の思い通りになる人生は、決して自分の生きる糧にはなりません。なぜなら、自分を省みて自分を成長させる機会が失われるからです。自分の思い通りにいかない環境は、自分を律して成長させてくれるための大きなチャンスなのですね。「不惑の年」になって久しいですが、ようやく最近になってそういうことが分かってきました。「原因」と「結果」の法則