『 ゴールデンスランバー 』 伊坂幸太郎
前期試験での『 水筒事件 』 で、すっかり傷心状態の下の少年。 見るに見かね、 「 そう言えば、伊坂幸太郎の新刊を【 文庫 】で見つけたよ? 買ってもイイよ? 」 「 ほんと?? 」 勢いづかせて、送り出す。 本嫌いだった下の少年は、いったい何処に行ってしまったのか、 最近は、よく本を繙いている。 読了するのも早い。 が、しかし、山ほどある私の蔵書たちには余り食指が動かないようで、 彼の推薦書を私が追い掛けるという、嬉しいような哀しいような逆転現象。 なかでも、少年のお蔭で、伊坂氏とめぐり逢ったことには、感謝している。 で、少年が買って帰ったのは、新作も新作、ハードカバーである。ヽ(`Д´)ノ 「 おかあさんさー。 欲しい本は、文庫オチになるのを待って待って、 それでもどーかすると100均になるのを待ってるのに、 なんで君が、あっさり、ぴかぴかのハードカバーを買えるかな~ 」 つい、僻みがましくぶつくさ言うと、 「 しょうがないぢゃん、 おかあさんが言ってた文庫は、もう読んでるのだったしぃ。 僕が今、1番読みたい本だったんぢゃけん 」 口を尖らして応戦する。 く~~。 ま、しょうがないかぁあ。 私も読めるし(゚゜)\バキ☆ 、、、と思ってたら、少年はその日に読了し、 翌日、私が貸して、と言うと、あ、友達に貸した。 だと (o_ _)oポテッ んでも、そのお子も速読のようで、3日目に返されて来た。 ラッキー 『 ゴールデンスランバー 』。 「 黄金のまどろみ 」。 なかなか高貴なる香りがする、カコいいタイトル! そかそか。 ビートルズの『 アビイ・ロード 』に収録されてる、 ポールのメドレーのオープニングの曲なんだよね。 で、どんな気持ちでポールがこれを書いたか、に、主人公は想いを馳せる。 私は、ハーブティーの『 ゴールデンスランバー 』が、 カモミールとスペアミントをブレンドしてあることにも気付いて、 なるほどなぁ、このお茶、深いよな~と感動する。 ストーリーは、 「 首相暗殺の濡れ衣を着せられた一青年の逃亡劇 」という、 ハードボイルドなお話ではあるのだが、 主人公は、ハードボイルドとは対極にあるような 優男。 伊坂氏の作品らしく、語り手を替え、時空を超え、絡み合う伏線が テンポ良くひとつひとつ綺麗にハマって行き、 絶体絶命、悲劇にしか行き着きそうもない予感、様相のなかで。。。 殊にエピローグが秀逸。 ほろり。 いつもながらウマ過ぎます。 腰痛を忘れる(笑)面白さでした! あとがきの最後に、伊坂氏が 当然ながら、この物語はあくまでも作り話ですので、参考にした本や 取材した内容に、僕がたくさんの嘘を混ぜ合わせて、取り込んでいます。 物語の都合上、現実とはかけ離れた部分も多いので、 読んだ方が真に受けないで下さればいいな、と思っています。 ぃゃぃゃ~。 結構リアルですから~。 警察のメンツ、国家権力、裏の力、そんなような思惑で、 都合の良いように「 事実 」を捻じ曲げ、でっちあげていくその手法は、 本当のところ、こうなんぢゃないの? って真に受けちゃいます(笑)。 んでも、「 本当のところ 」は、 伊坂氏が綴る、小洒落た粋な人間関係、 マスコミや権力に踊らされず、自分のこころで感じたそのひとへの信頼感、 であって欲しい。 んで、それをつくるのは、持ちうるのは、自分自身。 でしかないのですよね。 伊坂氏、★5つ。 文句なくお薦めの1冊となりました^^*☆ 『 ゴールデンスランバー 』 伊坂幸太郎/新潮社/2007年11月 ISBN:9784104596034/\1,600(税抜)