新 緑仙の日々是好日(天声人語から)
「2012.6/15付 朝日新聞 天声人語」 大漁に二日なしという。潮流や水温に左右される漁獲は気まぐれで、船が傾(かし)ぐほどの水揚げはそうそう続かない。年ごとに取れなくなる背景には、汚染や乱獲もあろう。豊漁貧乏もつらいが、魚影が薄すぎては商売にならない▼ツナ缶の苦境が報じられた。原料のキハダマグロやカツオが十分に取れず、値上げの瀬戸際だという。利益が出にくいからメーカーも意気が上がらず、10年前に年6万トンあった生産量は4万トンを割った。▼不漁の一因は、南米ペルー沖から中部太平洋の水温が下がるラニーニャ現象らしい。ただし本当のところは分からない。滋養豊かなツナ缶は途上国で人気が高まり、原料の不足感は尾を引きそうだ。▼本紙別刷り「be」にあった「好きな定番缶詰」の投票でも、首位はツナ缶だった。代名詞の「シーチキン」は発売から半世紀。チキンの代用品を思わせる商標は、マグロがより大衆的だった時代をしのばせる。今なら、鶏肉をマグロに似せた「ランドツナ」が開発されてもおかしくない▼希少化によるピンチといえばウナギである。3年続きの記録的不漁で稚魚の価格が高騰、輸入も減り、かば焼きはますます高い。どうも魚の総量が減ってきたようだ▼SUSHIを先兵に、健康的な魚食文化は世界に広まった。このうまさに気づかれたか、という思いはあるけれど、若い世代の魚離れを知れば偉そうに元祖づらもできない。垣根のない水の畑を囲む国々が、知恵を持ち寄り、長く食べつなぐ道を探りたい。昨年、ペルーを旅してあちらの国の方は「マグロ」を食さないことを知った。食さなくても「漁」はする。輸出向けであると聞いた。魚離れは、何故だろう?生活様式が高度成長期から大きく変わったことも関係している。核家族になったことや、専業主婦が減ったことやスーパーのお惣菜コーナーが出来たことも関係している。肉と比べて魚の料理は手間が係るのかも知れない。唐揚げ一つを例にしても「鳥の唐揚げ」と「魚の唐揚げ」では、どうやっても肉の方が簡単である。魚介類は四方海に囲まれた我が国では副菜の頂点だと思うのだが‥やはり、若い世代は、肉の方が嬉しいらしい。にほんブログ村にほんブログ村