カテゴリ:読書
今週読んだ『あ・うん』について書きます。
著者の向田邦子さんは、1929年に東京で生まれ、1981年に航空機事故で急逝されました。 この『あ・うん』のあとがきは、1981年の初夏に書かれているので、亡くなられる直前の作品だと思います。 東宝により映画化されたようなので、御存知の方もいると思います。 私は、『あ・うん』というタイトルは聞いたことがありましたが、映画化されたことは知らず、本の内容も知りませんでした。 この本は、太平洋戦争前の東京を舞台にしています。 具体的には、「盧溝橋事件が起きたのは、この半年あとのことである」という一文から、1937年前後です。 つまり、著者が8歳前後の時の記憶を頼りに、書かれた作品です。 盧溝橋事件の発端となった発砲は何者によるかというと、中国共産党陰謀説が日本国内にはありますが、真相は謎です。 ちなみに、扶桑社の新しい歴史教科書(市販本)での記述は次の通り。 「北京郊外の盧溝橋で演習していた日本軍に向けて何者かが発砲する事件がおこった。翌朝には、中国の国民党軍との間で戦闘状態になった」 なお、渡部昇一氏の『渡部昇一の昭和史』によると、 「盧溝橋の国民政府軍の中に中共軍のスパイが入り込んで、日本軍に向けて発砲した」と書かれているます。 以下は、気になった箇所の引用と感想です。 【引用】 「古新聞を丸めて詰めていた。御真影が載っていないかたしかめながら詰めなくてはいけない」 【感想】 これは靴に新聞を詰める場面ですが、今では考えにくいと思います。ちょっと感動しましたね。 【引用】 「やめたのではない、やめさせられたのだ」 【感想】 これは、山本有三の『路傍の石』という新聞小説が、途中で書けなくなってしまったことです。 あまり詳しくは書かれていないので、どういう理由でやめさせられたのかわかりませんが、機会があれば読んでみたい小説です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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