『城山三郎が娘に語った戦争』 井上紀子 (朝日新聞社)
読後感を書いておきます。この本は、2007年8月に発行されました。城山三郎は、経済小説という分野のパイオニアと言われています。ウィキペディアにも、次のように書かれています。「城山 三郎(しろやま さぶろう、1927年8月18日 - 2007年3月22日)は小説家。経済小説の開拓者として、また伝記小説の作者として評価されている。本名は、杉浦 英一(すぎうら えいいち)。」以下に、【この本からの引用】と【上記の感想】を、少々書いてみます。【この本からの引用】父は大岡昇平さんのことを尊敬していました。【上記の感想】この本を読もうとした切っ掛けの一つが、実は、この一節です。大岡昇平については、ウィキペディアを見ると、次のように書かれています。「大岡 昇平(おおおか しょうへい, 1909年(明治42年)3月6日 - 1988年(昭和63年)12月25日)は、小説家・評論家・フランス文学翻訳家。」大岡昇平の著作は、数冊読みましたが、代表作と言われている『野火』の読後感は、こちらです。【この本からの引用】父が戦争の体験を話し始めたのは、『指揮官たちの特攻』を書き始め、その途中で母が亡くなってからです。【上記の感想】城山三郎の『指揮官たちの特攻』は、確か昨年のことと思いますが、出版社の新聞広告等を何回となく見たので、それなりに売れた本だと思います。私はまだ読んでいませんので、そのうち読むことがあるかもしれません。ただ、戦後生まれの私たちには、特攻に対する距離感があまりにもありすぎます。その点で、読むか読まないかは微妙な気がします。ただ、城山三郎は、70歳をすぎた頃より、娘さんに戦争体験を話し始めたそうです。「話さなければならないし、そのために生かされてきたのだと思う」という言葉を交えて。この言葉を読むと、襟を正して、『指揮官たちの特攻』に向き合って見ようかとも思います。人は、人生の残り時間が少なくなると、話さなければならないこと、やるべきことことが見えてくるのかもしれません。