キリストのファンになる
先日、「パッション」と言う映画のDVDを観た。
この映画は、メル・ギブソン監督のキリストの死を描いたもので、そのリアルで過激な影像が話題となった作品だ。
一緒に観ていた人は、途中で耐えられなくなり退席した。
僕は釘付けになっていた。
その残酷な描写は構成の巧みさと相俟って、恰もキリストの死を目の当たりにしたかの様な錯覚を覚えさせた。
そして、それ程の残酷な仕打ちを受けながらも、目的の境地まで己の信念と姿勢を曲げず、死の間際まで敵対者の事を祈り続けた一人の男にただ感動していた。
適当に誤魔化せば、処刑を免れる機会は幾度となくあったのに…。
キリストの無抵抗な姿勢を僕は好きではなかったけれど、それはこの時代の価値観を転覆させる為には、必要な「片寄り」であったのかもしれない。
この映画で僕はキリストのファンになった。