原子力発電のことについて
私が通っていた大学は文系の大学でしたが、ゼミは自然科学系のゼミに所属していました。そして、卒業論文のテーマに選んだのが「原子力発電」でした。論文を書き始めたときは原子力発電に対して特に考えはなく、どちらかというと賛成派でした。極端を言えば、地元に原子力発電所を建設する、となっても賛成したでしょう。しかし色々調べていくうちに「なんか違うな」という考えに変わりました。その理由の1つがコストです。電力会社は『原子力発電はCO2の排出が少なく、低コストの発電方法です』と宣伝しています。CO2の排出量が少ないというのは事実かもしれませんが、発電コストについてはからくりがあります。確かに、発電に掛かる燃料代だけを見れば、火力発電などよりは安いです。しかし原子力発電は他の発電だったら掛からない、余計な費用が発生します。まず、原子力発電は発電し続けることで低コストになります。そのため、電力需要が低いときでも発電し続けます。そうなると電気が余るので、蓄電システムを作ります。火力発電所だったらこんな余計なものは作る必要がありません。また、原子力発電は万一に備えて都心から離れたところに作ります。東京電力の場合、今回事故が起こった福島や、新潟に作りました。その電力を首都圏まで送電する必要があるので、長い送電システムを作らなくてはなりません。これも電力需要の多い都市に発電所が有れば不必要です。そしてもっとも問題は、廃炉の処分費や放射性廃棄物の処分費が含まれていないことです。特に廃炉の処分費は当初「1基あたり200億円」と言われていたのですが、実際には数千億円掛かることが分かってきました。このようなコストも問題ですが、放射性廃棄物の処分のほうが問題です。自民党の国会議員である河野太郎氏は日本の原子力政策を「トイレのない家」と例えています。そして、『そんな家に住めますか?』と言っています。動画での説明もありますので、興味のある方はこちらをご覧下さい。http://www.taro.org/この文章に対して『そんな単純な話じゃないんだ』という意見もあるでしょう。そして、実際今すぐに原子力発電をやめることは不可能です。しかしこのようなことが起こった以上、国民みんなが考えるべき事だと思います。政府や電力会社は嘘はついていません。しかし、本当のことを隠したり、都合の良いことしか言わないということはあります。また、テレビや新聞は、残念ながら電力会社が大スポンサーなので表立って批判記事を書くことはありません。だから、自分で情報を入手する努力が必要です。忘れてはならないのは、私たち首都圏に住む人間は、福島、新潟の人たちの犠牲の上に暮らしているのだということです。