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Shige & Happy の 気まぐれ写真日記

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2014/02/03
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テーマ:読書(8583)
カテゴリ:最近読んだ本

エリザベス・ビズランドが見た日本

 西回りコースのエリザベス・ビズランドは、サンフランシスコ出港後16日間太平洋を航海して、1889年12月8日に横浜港に着いた。その後、彼女は12月10日まで日本に滞在し、横浜と東京を見物している。
   ↓「80日間世界一周」に挑んだ2人の女性記者(1)~2014年1月29日の記事
  http://plaza.rakuten.co.jp/shigedoraku/diary/201401290000/

「エリザベス・ビズランド」
エリザベス・ビズランド140203
(左は世界一周の旅の船上で、右は1891年の撮影とされる)

 一方、東回りコースのネリー・ブライは、12月8日にセイロン(現スリランカ)のコロンボ港に到着している。そして、12月13日までセイロン島に滞在してコロンボ周辺を見物している。

 時間を競う旅なのに寄港地で滞在しているのは船の乗り継ぎのためだった。特にネリーは、コロンボで乗り継ぎがうまくいかず滞在が予定より長引いた。そのため計画よりも3日遅れた旅程となってあせっている。

 エリザベスの日本での見聞は、「ヴェルヌの『80日間世界一周』に挑む」(マシュー・グッドマン:金原瑞人、井上里訳~柏書房 2013年)では11ページにわたって描かれている。 ※青字は引用部分

<船上からの富士山>
 その姿の邪魔になるような山は周囲になく、ひとり雄然とたたずんでいた。その姿をひと目みて、エリザベスは理解した。富士山の姿がどのように日本人の心のなかに棲みついてきたのか、それがどのように聖地として崇められ、どのように無数の巡礼者の目的地となってきたのか。
<人力車>
 エリザベスは男たちの脚を、感嘆してながめた。すらりとして筋肉質で、まるでサラブレッドのようだった。彼らはわらでできたぞうりをはいていた。大きな足指に巻きつくひもできっちりと足に固定されている。人力車は1時間乗って、わずか15セントだ。75セント支払えば1日貸切にできる。その日の終わりに、エリザベスはこんな記事を書いた。「人力車の車夫は決して息切れしない。いつでも上機嫌で感じがいい」
<商店街>
 どの店にも隅に磁器の花びんが置かれ、菊の花が巧みに飾られていた。これらの店の正面には簡素なすだれが下げられており、1日の商売をはじめるときに巻き上げられていた。
 エリザベスとマッジ(船で一緒になったアメリカ女性)は、いたるところで愛想よく迎えられた。店番たちはみな頭を下げておじぎをし、好きなだけ商品をみるよう勧め、決して買うことを無理強いしなかった。
 猜疑心の強いアメリカ人の間で暮らしてきて、人をみれば詐欺師ではないかと疑うようになっていたエリザベスは、日本の人々の気立てのよさと信頼に触れて、思わず泣きそうになった。
<横浜から東京へ向かう汽車の窓から>
 列車はわらぶき屋根の農家が点在する村々を過ぎ、いくつもの小さな駅、屋根の形がパゴタのような格子戸の茶屋、道の端の小さな神社、梅林、水田などを過ぎていった。なくてもいいもの、場違いなものはなにひとつなく、あらゆる場所に繊細な夢のような雰囲気があった。エリザベスはふと思い当たった。日本人画家たちはしばしば、西洋の批評家たちからその単純さと伝統への執着を馬鹿にされているが、彼らの作品は本当は単純なのではなく、徹底的な写実なのではないだろうか。

 上に挙げたこと以外にエリザベスは、徳川秀忠の墓所に行ったり、歌舞伎を観劇したり、絹織物屋でガウンを注文したりしている。そして、彼女らしい知性に満ちた繊細な観察眼で日本のことを描写している。そして、つぎのように書いている。「アメリカは蒸気トラクターと大きな新聞社がある平凡な国。でもここは、磁器と詩歌の国、どんなにありふれた場所にも美しいものがある国だわ

 エリザベスは、横浜を出港する時「きっとここに戻ってくる」と誓っている。その誓いどおり、彼女はその後2回来日している。それほどまで、エリザベス・ビズランドにとって日本は好ましい国だった。 






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Last updated  2014/02/05 10:43:12 PM
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