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メディアのウクライナ戦争へのかかり方 前回に続いて『国際報道を問い直す』(杉田弘毅~筑摩書房:2022,7,10)から、改めて大切だと感じたこと、新しく知ったことを上掲書の記述から紹介する。 ※章名は上掲書の章名である。 第5章 ウクライナ戦争報道 ウクライナ戦争に関する報道は、最近ではニュース番組だけでなくバラエティ番組でも時間を割いて放送している。この報道ブームには5つの理由がある。 第一に、ウクライナ戦争は戦争を可視化したということ。メディアの映像も当然大量に発信されているが、インターネットとドローン技術などの進歩で、リアリティある映像が全世界のリビングに簡単に大量に流れるようになった。 『国際報道を問い直す』 (世界各地での出来事を、我々はどのようにして知り、どう判断しているか) 第二に、何と言ってもプーチン大統領の「悪漢」ぶりである。アルカイダのオサマ・ビンラディン、イラクのサダム・フセイン、過激派組織「イスラム国」など、近年でも「悪」はいた。だが、プーチンは国連安全保証理事会常任理事国でもある大国ロシアの大統領である。そのプーチンが隣国に軍事侵攻を始めた。それを我々は現実世界に見ているのだ。これは紛争の武力解決を禁じた国連憲章違反である。しかも市民に対する無差別爆撃、さらには意図的な殺害などの戦争犯罪も行われている。しかも、核兵器使用の脅しもかけている。 第三に、ウクライナ戦争は米ロという核兵器超大国が、実際には戦場でぶつからずとも対立する構図になった。だから当然、核戦争の危険も含んでいる。 第四に、この戦争の特異な点は結末が見えないことだ。米ソは直接対決は望んでいない。しかし、プーチンには歴史的な政策である南下政策の実現と、旧ロシア帝国の再現という野望がある。アメリカは深入りを避けたいと思ってもNATOの一員であり盟主でもあるから、欧米側のウクライナを失うことは避けたい。 第五には、この戦争が北半球で起こっているということである。中東やアフリカ、南アでは内戦や戦争が多発している。しかし、ウクライナは、自由民主、市場経済圏で欧州の一部なのである。 改めてウクライナ戦争がこれまでの地域紛争や内戦とは異なるかを分かりやすく示している。日々のニュースに触れながら、自分なりに判断する力をつけてゆくことの必要性を感じる。また、多分紙面の都合だと思うが、杉田が触れていないウクライナ難民の問題についても、関心を持ち続けることが大切だと考える。 ↓ランキングに参加しています。良かったらクリックをお願いします。 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023/03/18 08:09:23 PM
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