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田部井淳子さんの闘病登山 登山家田部井淳子さんの近著「それでもわたしは山に登る」(文藝春秋 2013年9月)を読みました。田部井さんが歳の子どもを家に残してヒマラヤに遠征し、世界最高峰のエベレストに女性として初登頂したのは1975年、35歳のときのことです。 その後田部井さんは世界6大陸の最高峰をはじめ、世界各国の最高峰に登ってきました。 「田部井さんと」 ↓ピースボートでの田部井さんの講演について(2011年9月18日の本ブログ記事) 2007年、グルジアの最高峰オースベリ山(4365m)に登ったとき胸のしこりに気づき、それは乳がんと診断されます。帰国後手術を受け、その10日後にはバルト3国にでかけています。そしていずれも低山ではあるがバルト3国の最高峰に登っているのです。 福島県三春町出身の田部井さんは、東日本震災の被災者たちと登山の会を実施したり、東北の高校生が富士山に登るというプロジェクトを支援してきました。 2012年2月、チクチクと刺すような腹痛を感じ、腹膜にガン細胞があることが発見されます。診断結果は「余命3ヶ月」だったといいます。その後、3月から12回にわたる抗がん剤治療を受けますが、その間も被災者との登山などを実施しています。 2012年7月、手術により腹膜ガンは寛解し、本人のブログでは今も元気に講演活動などを続けています。現在74歳になる田部井さんは「余命3ヶ月」というガンに打ち勝ったのです。 2階に洋服を取りに行こうとして驚いた。階段一段分の高さまで足を上げるのがしんどい。やっとの思いで階段の真ん中あたりまで来ると息が切れている。何ということだ!情けない。両手をついてイヌのように四つんばいになりながら残りを登った。最後の段は壁に手をつかないとヨロヨロする。膝の裏の関節も痛い。「それでもわたしは山に登る」より 世界最高峰エベレストに登った人が2階に登るのにこの苦しみ。本人が一番辛かったでしょう。「生老病死」という、人の宿命を暗示しているようです。 この「それでもわたしは山に登る」には、上のような闘病記のほかにこれまでの登山経験の中の秘話も書かれています。登山隊の中のエゴや不和、頂上アタッカーを決める時の隊員同士確執、全体をまとめる方策など…。余命を自覚した今こそ書いておきたいと思ったのでしょう。 腹膜ガン手術後の2012年12月にはエベレスト南麓の村を訪ねています。1975年の歴史的なエベレスト登山で一緒に登ったシェルパの故アン・ツェリンの自宅を訪ねるためです。そしてそのあとにバングラデシュの最高峰ケオクラドン(1.230m)にも登っています。 田部井さんが求める自分らしい生き方を、これからも全うされることを祈っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/03/05 01:15:18 PM
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