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テーマ:ニュース(100167)
カテゴリ:日本地理・世界地理
つくりだされた民族問題 クリミアは、ロシアのプーチン大統領の強引な併合宣言で新たな段階を迎えました。クリミア発の映像のほとんどがロシアへの併合を大歓迎していました。しかし、住民投票の結果とはいえ、一国の領土がその国の承認なしに他国に併合されることは極めて異例な事態です。 ↓時間がある方は、2014年2月27日の本ブログ「プーチンはどう出る」も読んでください。 http://plaza.rakuten.co.jp/shigedoraku/diary/201402270000/ ウクライナ共和国の人口は約4,545万人(2012年:世界19位)です。これは日本の都道府県別人口のベスト5(東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉)を全部足したぐらいになります。面積は60万3,700平方Kmですから、日本(37万8000平方Km)の1.5倍強といったところです。 「ウクライナ」 ウクライナでは2004年の大統領選挙後から、親欧米勢力と親露勢力間での政治抗争が激しくなっていました。クリミアをめぐる紛争に関して、マスコミは「冷戦の始まりか」と書き立てています。しかし、冷静に考えれば、ウクライナ問題は民族問題に根ざした国内問題です。 ウクライナは、ウクライナ語圏とロシア語圏が明確に分かれています。西部にいくほどウクライナ語を話す人が多くなり、東部にいくほどロシア語を話す人々が圧倒的に多くなります。そして、クリミア半島にあるクリミア自治共和国は歴史的にロシア色が一番濃い地域です。 今日のウクライナの政治的混迷の原因の大半は、旧ロシア帝国及び旧ソビエト連邦が作りだしたことなのです。 旧ロシア帝国は伝統的な南下政策によってクリミア半島にロシア系住民を強制的に移住させました。そしてウクライナ語をロシア語の方言と位置づけるなどのロシア化を進めました。 1922年のソビエト連邦成立により、ウクライナはソビエト連邦の一員とされました。スターリンは農業の集団化を名目に、数百万人のウクライナ人を餓死させたと言われます。またソ連時代には、大きな被害をもたらしたチェルノブイリ原発事故(1986年)も起こりました。 ソ連の崩壊後は「ウクライナ共和国」として独立しましたが民族問題は残りました。ロシアに対抗するため、近年は欧米諸国はウクライナへの政治的な干渉を強めていました。 欧米諸国はロシアへの圧力を強め、経済制裁を強化しています。しかし、ロシアにとってはクリミアを併合することによる経済的な負担も膨大な額にのぼります。そうしたリスクを引き受けることも承知の上で、プーチン大統領は併合に踏み切ったのでしょう。 ソチオリンピック・パラリンピックの終了が、「世界の平和と協調」という普遍的な目標に暗雲をかける合図となったことはとても残念なことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/03/27 11:10:23 PM
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