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アメリカ合衆国にも王がいて宮殿があった
4月23日から2泊3日の日程で来日したアメリカ大統領オバマ氏の訪日は3度目だが、国賓としての訪日は初めてだった。アメリカ合衆国の大統領が国賓として訪日するのは1996年のクリントン大統領以来18年ぶりのことだったという。 外国の大統領や首相などを「国賓」として招くときは、宿泊費や国内での移動経費を国が負担し、宮中での歓迎晩餐会を催す。国としての最高のもてなしをする儀式的な意味合いがある。 「旅する理由」(山口由美:千早書房2007年)を読んでいたら、日本が最初に招いた国賓について書かれていた。それは、ハワイ王国のカラカウア国王だったという。1881(明治14)年3月4日のことである。カラカウア国王はハワイ王朝の初代国王カメハメハから7代目の国王である。 「旅する理由」 (ナミビア、ボルネオ、メキシコ、ニューギニアなどの秘境を中心に書かれた旅行随筆) 上掲書に「せつないハワイ~日本に嫁がなかった王女」という章がある。来日したカラカウア国王は、日本皇室の親王(山階宮定麿:当時15歳)とハワイ王国の王女(カラカウアの姪カイウラニ:当時5歳)との縁談を持ち出したという。アメリカ合衆国の西進に存続の危機を感じていたカラカウア王が、日本皇室との縁組みによってハワイ王国の存続を考えていたのではないかという。 カラカウア王は、両国の縁談のほか太平洋に海底電線を敷設することや環太平洋諸国同盟などの提案をしている。どれも日本政府に断られ実現しなかったが、唯一実現したのがハワイに日本人移民を受け入れるという提案だった。 ハワイへの移民は明治時代はじめから行われていたが、政府による移民(官約移民)はこのときの提案によりはじまった。日本人の移民は、人口急減という問題に陥っていたハワイのサトウキビなどの産業を立て直す大きな力となったという。 「イオラニ宮殿」 (カラカウア国王が建設したアメリカ唯一の王宮、今はホノルルの観光名所になっている) ハワイ王国は1898年にアメリカに併合され、100年あまりの短い歴史に終止符を打つ。その翌年の1899年、美貌の王女カイウラニは23歳の若さで病死している。もし彼女が日本皇室に嫁いでいたらハワイ王国の歴史は変わっていただろうか。 ※ハワイがアメリカ合衆国の50番目の州となったのは1959年のことである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/05/10 03:14:31 PM
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