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テーマ:日本史(1738)
カテゴリ:最近読んだ本
「御一新」は欺瞞に満ちていた 今回はちょっと過激なタイトルである。最近ある本を読んでいたら、「自分もたった四文字の言葉に洗脳されていた」と思うようになったからだ。 どの教科書にも「明治維新」という言葉はあった。そして、この言葉はこれまでは「旧い幕藩体制という封建制度を打破し、近代的な国民国家を創る」という明るいイメージで捉えられてきた。 「資料を基に洗い直す」 (当時の瓦版や風刺錦絵を分析し、「明治維新」の実像を暴く) (森田健司著:河出文庫 2021年) ところが、それは本当にそうか。単純には、徳川幕府260年の間、外様大名として冷遇された薩摩藩と長州藩が中心になって討幕運動が起こった。大筋でそれは間違っていない。しかし、単なる武力闘争を、「錦の御旗」のもとに正義の戦いとして進めたことに多くの欺瞞があると著者は言う。 「庶民は新政府軍を嫌っていた」 (新政府軍は各地で乱暴狼藉、略奪虐殺の限りを尽くしている) (※森田健司著:河出文庫裏表紙より) 江戸城の開城が大きな焦点になったとき、薩長軍から江戸を守ったのは徳川慶喜と勝海舟の二度にわたる会談の結果と言われる。しかし、西郷は元々は徹底的に徳川家を潰すつもりだった。 「明治維新偽りの革命、目次の一部」 (今までの教科書は今、いろんな時代において書き直されている) 江戸城無血開城は、戊辰戦争後大阪から江戸に逃亡した慶喜が謹慎を続けたことに遠因がある。薩長には徳川家を打倒する大義名分がなくなったのだ。慶喜は大阪から逃亡して、幕府軍を裏切ったと批判されるが、結果的には慶喜が朝廷に恭順し身を引いたことが、100万都市江戸を戦火から守ったのだ。 まず「明治維新」という言葉のマジックから目覚めることが、江戸から明治への時代の変遷を客観的に見る出発点である。「歴史は勝者の手によって書かれる」これは、どんな時代でも同じことである。冷徹な資料による考証は欠かせない。 ↓ランキングに参加しています。良かったらクリックをお願いします。 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/10/23 09:32:19 AM
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