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Shige & Happy の 気まぐれ写真日記

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2022/04/22
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カテゴリ:最近読んだ本
​​​​文章家「高峰秀子」から伝わってくるもの​​

 「深夜特急」以来、沢木耕太郎のファンである。旅行記自体好きなので良く読むのだが、「深夜特急」の旅の中でのスリリングなシーンが面白い。そして何よりも若き沢木耕太郎の、人や物を見る目の新鮮さと人への想いの深さに魅せられた。

 SNSである人に「深夜特急」は自分にとって「人生の聖書(バイブル)みたいなもの」と紹介したこともあり、今単行本3冊を読み直している。その最中、沢木の文庫本の新刊が出るというNEWS。早速通販サイトで予約注文した。

「作家との遭遇」

(新潮文庫、令和4(2022)年、5月1日発行)

 今年の5月1日発行で、新刊ほやほやである。しかし、その内容は1979年から2010年にかけて書かれたものだった。タイトルにもあるように、19人の文筆家に関する人物論・作品論・作家論風のエッセイ集だった。

 単行本として発刊されたのは2018年で、今回文庫化されたのだ。ちょっと古い時期の文章もあり、最初はどうかなと思った。しかし、取り上げられた作家のほとんどが、自分が読んだことのある作家だったので興味深く読み終えた。

 その中で「高峰秀子」の章があったのが自分としては気に入った。沢木は高峰を女優としてでなく文筆家と書いている。高峰は多くのエッセイや人物論を残したが、その中でも、自伝「私の渡世日記」を取り上げているところが良かった。

「私の渡世日記」

(
表紙絵は梅原龍三郎。高峰の交流関係の広さがよくわかる)

 高峰の書いたものは殆ど読んだ。その中で自分は、代表作を一つ選べば「私の渡世日記」以外には考えられないと思っていた。

 ​ 「私の渡世日記」高峰秀子について、過去に下記ブログに所感を書いている。​

 上のブログの中で、自分は以下ように書いている。

 まず、第一にその人生の真実がまさに波乱万丈だったということ。(後略)
 第二には、その生き方とともに、ものの感じ方、表現の仕方が素晴らしいこと。文筆生活は映画界を引退した中年の頃からであるが、文章の一つ一つに「しなやか」な感性と「したたか」な気骨が読み取れる。
 まだ読みつくしてはいないが、今の段階で一言でいえば「あっぱれな人」だと思う。

 果たして沢木耕太郎は高峰秀子の「私の渡世日記」をどう読んだか。そこが一番の関心事だった。沢木は高峰と対談もしているから、自分は本でしか高峰を知らないが、沢木は彼女をより立体的にとらえていると思うからだ。

 沢木と高峰の著作との出会いは、古本屋でたまたま見つけた高峰の「私のインタビュー」という本だったという。それも「インタビュー」の方に先に目が行ったからといういう。ノンフィクションライターとしての沢木は、そのころインタビューについて「原理的に」考えたいことがあったからだという。

 作家も古本屋で本を買うのか、と面白く思った。と同時に、「言葉」にとらわれて反応するところは自分と似ているなと思った。自分も「近現代史」に関心が向くと、その言葉がいつも頭の中を駆け巡っていて、書店で「近現代史」と書かれたタイトルの本を見つけたら、買う買わないは別にまず開いてみる。

 沢木の高峰作品への感想や受け止めを以下抜粋して紹介する。

 ここには「文章のうまい女優」がいるのではなく、単にひとりの「文章家」がいるだけなのだと認めざるを得なかった。
 高峰秀子の文章を特徴づけるのは、他者を描くときの的確さと、自己を描くときの突き放した態度である、自分に対して決してベトついた書き方をせず、常に自分を相対化しようと努めている。

 長くなるのであとは省くが、自分が以前のブログで書いた「しなやか」な感性と「したたかな」気骨、そして「あっぱれな人」と同じような感じ方を、沢木耕太郎もしているようだ。

 高峰秀子は2010年12月に没した。享年86。

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Last updated  2022/05/09 10:42:32 PM
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