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国際報道とメディアの問題点
ロシアのウクライナ侵攻はは、多くの世界のメディアの予想外だった。これをきっかけに、我が国を含めた世界のメディア(ここでは、民主主義国のメディア)の様々な問題点や課題が浮き彫りになった。このことを、海外取材歴が長いジャーナリストが分析したのが下記の「ちくま新書」である。(杉田弘毅~筑摩書房:2022,7,10) 『国際報道を問い直す』 (世界各地での出来事を、我々はどのようにして知り、どう判断しているか) 日本で起こっていることは、各種メディアが直接現地で取材してニュースやバラエティ番組であっても話題にする。様々な誇張や加工を前提としても、受け手は経験に基づいて、比較的信頼に足る情報にアクセスし自分なりに判断する。 しかし、国際的な事案に関しては困難なことが多い。特に現在進行中のロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻について、真実に迫る報道がどれだけあるかは疑問である。ウクライナの今後についてもなかなか予測は出来ない。 著者の杉田広毅は、過去に共同通信の、テヘラン、ニューヨーク、ワシントン支局長の経験を経て、現在は特別編集委員兼論説委員である。専門はアメリカ政治・外交・日米関係・中東・核兵器問題などで明治大学の特任教授を務めている。 予測できなかったウクライナ戦争 杉田は「はじめに」で書いている。(以下要約) 私は、毎年サンクトペテルブルグで開かれる少人数の会合で毎年のようにプーチンと顔を合わせ質問してきた。そこで、年々彼の自由世界への反発は強まっていると感じていた。2014年のクリミア併合でG8首脳会議から追放されても「あんなお茶を飲むだけの会議は出てもだめだ、欧米が決めた結果をロシアは受け入れるしかない。二級市民の扱いだ」と言い放っていた。あたかも、自由世界がつくったリベラルな国際枠組みはロシアの行動を縛るものという姿勢が感じられた。 それでも私はプーチンが大規模な戦争を開始するとは予想しなかった。世界のメディアや専門家も予測できなかったのだから仕方ないと安易に結論づけたくはない。戦争を予期できなかったことは、私が携わってきた国際報道が十分なレベルに達していないという事実を歴然として示しているからだ。 杉田は、この「まえがき」における問題意識を、1章から5章の本論の中で、自身の体験を交え書いている。そこには、「ヨコのものをタテにする」という赤裸々な表現で、これまでずっと、日本の国際報道はアメリカメディアの書き写しだったということが含まれる。我が国のメディアの流す情報は、英米、特にアメリカからの情報に偏っている。もっとこれからは極東や東南アジアに対する関心を持たなくてはいけないし、報道もそうあってほしいと思う。 (※この項は、次回に続く) ↓ランキングに参加しています。良かったらクリックをお願いします。 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023/03/18 08:14:52 PM
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