嶋本昭三&100人の日本人イタリアにアートで突撃!【3】(美術手帳より)
1950年代から半世紀もの年月ヘリコプターから地上に絵具を炸裂させる絵画など独自のアクション・ペインティング&パフォーマンスを繰り広げてきた嶋本昭三。齢77を迎えた2005年、初夏およそ100人のアーティストを率いて敢行されたイタリア関連アート・プロジェクトの旅、その記録-~嶋本、「第二の故郷」への旅~かつてLA MOCAのポール・シンメルは、「世界4大アーティストのひとり」として、身体や行為による20世紀のアートの系譜うをたどる「アウト・オブ・アクション」展に嶋本を選出した。77歳になる現在も、長年住み慣れた兵庫を拠点としながら、「第二のホーム・グラウンド」ともいうべきイタリアで、現在のアーティスト仲間や画廊の協力を得て、継続的に活動している。そして今年、2005年、嶋本はおよそ100人の日本人アーティストたちを率いて彼の地を訪れ、現地メンバーと合流し、総計116人もの作家たちが、イタリア各地で作品発表を行った。AU会員をはじめ、嶋本が様々なかたちで長年親交を温めてきた弟子たちもいれば、教鞭をとる宝塚造形芸術大学の学部生たちや、アートとは関係ない世界で働く社会人としてあらためて美術の世界に入った大学院サテライト・クラスの在籍生・卒業生たち、会長を務める「アイプル・アート(日本障害者芸術協会)」の活動で知り合った自閉症や知的/身体障害を抱えるアーティストたち、そして、企画の交渉や司会をした僕のような世話役までいる。嶋本曰く、「全般に、美術大学で基礎もしっかり勉強した優秀な学生や、ベテラン・アーティストというのは選んでいない。知識やルールにいつの間にか縛られてしまっている人間より、美術の流れもよく知らないような人間のつくる新鮮さのほうがおもしろいことも、たくさんある」という面々。アートの捉え方から年齢・性別・国籍まで、種々雑多なメンバーによる旅がはじまった。→次回に続くアンドレア・マルデガン(アート・コーディネーター)=文「美術手帳」9月号より