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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
ペーター・ハントケ「左ききの女」元町映画館
「12ヶ月のシネマリレー」の10本目です。このシリーズは、なかなか、渋い作品ぞろいなのですが、なんというか、まあ、 見たのはペーター・ハントケ監督の「左ききの女」です。1978年の映画だそうです。チョー、シブイ! 作品でした。 ペーター・ハントケという人がビム・ベンダースの「ベルリン・天使の詩」の脚本家であることくらいは、まあ、知っていましたが、小説家で映画も撮っていらっしゃることは忘れていました。ノーベル賞作家ですよね。 鉄道の駅のシーンから始まって、同じ駅のシーンで終わりました。実は、このシーンが妙に印象的なのですが、映画の筋立てと何の関係があるのかわかりませんでした(笑)。3月から5月までの3カ月ほどの出来事ですが、何も起きません。立派な家に8歳の子どもと、やり手(?)の夫と暮らしていた妻が夫を追い出す話です。 夫に、夫婦生活を解消しなければならない、これといった過失があるわけではなさそうですし、妻にも、これといった理由があるわけではありません。しかし、夫は妻の提案に従い出ていきます。夫には妻に対する腹立ちはありますが、気遣いも、また、あります。妻は、小学生の息子と二人暮らしをはじめます。生活のために始めたのは翻訳です。で、旧知の編集者とかが登場しますが、何も起こりません。子どもは母親とだけの生活に、これといって反抗したりするわけではありませんが、父親の不在は少し寂しそうです。 何を見ていればいいのかわからないので、とても眠いのですが主人公の一人ぼっちの生活の姿はフェルメールの絵のようで、時々、ハッとさせられます。 最後に、妻の老いた父親と出会って会話します。謎が解かれるわけではありませんが、 「まだ書いているの?」 という娘の問いかけに父親がうなづくシーンがありました。 勝手な得心ですが、主人公のこの女性が、まあ、翻訳ということもそうですが、 何かを書くという生活 に親和性のある思考の人だということを感じました。夫に対しても、子どもに対しても、自分は自分で一人であることを求めている、それは「自立」というよりも「孤独」を求めるといった方がいいんじゃないかという、チョット、共感に似た納得でした。 いかにも、1970年代後期の空気を感じさせる作品でした。チッチキ夫人とかが見ると、妙に納得してヤバいんじゃないかという気がしましたね(笑)。 主人公の女性を演じていたエディット・クレバーという女優さんは知りませんでしたが、ブルーノ・ガンツとか最近、メグレ役で見たジェラール・ドパルデューとか、ベンダースの「都会のアリス」のリュディガー・フォグラーとか出てきて 「おっ!」 とか思うのですが、ブルーノ・ガンツは、まあ、夫ですが、残りの二人は、その場面のそこで何をしているのかよくわからないところが不思議な映画でした。 まあ、筋立てとかはよくわかりませんでしたが、父親役をやっていたハンス・シェーラーという人がよかったですね。拍手! それから、この映画はカメラマンのロビー・ミューラーという人ですね。随所に、印象深いショットがあって感心しました。拍手! 監督 ペーター・ハントケ 製作 ビム・ベンダース 原作 ペーター・ハントケ 脚本 ペーター・ハントケ 撮影 ロビー・ミューラー キャスト エディット・クレバー(マリアンヌ:妻) ブルーノ・ガンツ(ブルーノ:夫) マルクス・ミューライゼン(シュテファン:息子・8歳 リュディガー・フォグラー アンゲラ・ビンクラー ジェラール・ドパルデュー ベルンハルト・ビッキ ハンス・ジシュラー 1978年・114分・G・西ドイツ 原題「Die linkshandige Frau」 2023・08・31・no112・元町映画館no202 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.01 01:11:40
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