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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
イ・イルヒョン「復讐の記憶」元町映画館
予告もチラシも見ないで、韓国エンタメというだけで見ました。ドキドキ、ワクワク、最後のオチにはハッとしたり、思わず涙ぐんだり、納得でした。 同じレストランでアルバイト(?)するフレディという呼び名の、おそらく、80代の老人とジェイソンという20代半ばの青年が真っ赤なポルシェ で走り回り、順番に殺人を犯していく話でした。 フレディことハン・ピルジュ(イ・ソンミン)という、アルツハイマーと脳腫瘍を患っている80歳の老人が、自らの死を覚悟して決行する復讐・連続・殺人劇でした。 まあ、ちょっと、こじつけ・ドタバタ・アクションなのですが、こういうのスキです(笑)。 老人の年齢設定が80歳ですから、1940年代の植民地時代から現代の大韓民国にいたる朝鮮現代史、具体的には大日本帝国による植民地統治、徴用という強制労働、従軍慰安婦、創氏改名と帝国陸軍への徴兵、戦後の軍事政権、ベトナム従軍なんかが、主人公の老人の消えかけている記憶を支える物語の背景ですが、スマホをいじりネットゲームに興じながら、アルバイトでポルシェの運転手を引き受け、いつの間にか相棒として事件に巻き込まれていくジェイソン(ナム・ジュヒョク)という20代の青年には、老人の背景の記憶は「知らない過去」だという設定が、この監督のセンスの良さだと思いました。 物語は60年以上も過去の世界での家族の悲劇の「記憶」が80年の人生の間に育てた復讐劇なのですが、のんきな青年をセットにすることで「現代」の実相を描くこと目論んでいるようで、それが実にうまくいっていると思いました。 で、老人が扱う凶器が26年式拳銃という関東軍の拳銃だというところがまた面白いですね。拳銃そのものは、ある種、オタクネタですが、最後の標的「キヨハラ」という人物の謎を解くカギにもなっていて、うまいものです。 まあ、現代の日韓両国で、過去の欺瞞を隠しながら大物化している「企業家」「親日学者」「日・韓の軍人」を標的にした連続暗殺計画を「真っ赤なポルシェ」というような、目立ちまくる大道具で描くところが「マンガ」なのですが、アルツハイマーの老人と生活苦の青年の二人組が乗り回すのがポルシェというのはエンタメとしては納得ですね(笑)。上手に面白がって映画を作っている印象ですね(笑)。 イ・ソンミンという役者さんは、初めて見るわけではありませんが、とても80歳には見えません。しかし、虚と実の両方を交互にあらわす表情がいいですね。一方、ナム・ジュヒョクさんは初めてですが、あっけらかんとしたアホぶりがとてもよくて、お二人に好感を持ちました。拍手!です。特に、ちょっと、元阪神の能見投手に似ているナム・ジュヒョクさんには、もう一度、拍手!です。イ・イルヒョンという監督も、面白いと思いました。拍手! 従軍慰安婦とかなかったことにしたがっている風潮がどこかの国にはありますが、上から目線の植民地宗主国感覚は、相手から見るとどう見えるかを忘れては笑いものだということがよくわかる映画でしたね。拍手! 監督 イ・イルヒョン 製作 ユン・ジョンビン 脚本 イ・イルヒョン ユン・ジョンビン 撮影 ユ・オク 美術 チョン・ウンヨン 衣装 チェ・ヨンヨン 編集 キム・サンボム 音楽 ファン・サンジュン キャスト イ・ソンミン(ハン・ピルジュあるいはフレディ) ナム・ジュヒョク(ファン・インギュあるいはジェイソン) ソン・ヨンチャン(チョン・ベクジン富豪) ムン・チャンギル(ヤン・ソンイク教授) パク・ビョンホ(トウジョウ・ヒサシ帝国陸軍将校) パク・グニョン(キム・チドク韓国陸軍大将) チョン・マンシク(カン・ヨンシク刑事) ユン・ジェムン(キム・ムジン) 2022年・128分・G・韓国 原題「Remember」 2023・09・15・no115・元町映画館no204 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.18 01:10:39
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