|
テーマ:吐息(401)
カテゴリ:Essay
雨が続いている。 その雨に呼応するようなわたしの昨今。 夕べ、久しぶりに次女とゆっくりワインを飲んだ。 すごく安いワインだけど、こんな夜にはふさわしい。 「母さんの気持ちはよく分かるよ。この先はあんまり関わりたくない人たちだもの」 わたしは慌てて言葉を選んだ。 嫁がなければ、わたしと同じお墓に入ることになる。 それぞれが選択した人生には違いないけれど、半分はわたしの責任なのだ。 「時には衝突して、つい毒を吐いてしまうけど。大好きだよ、母さんが」 そんなことは百も承知で、ついついわたしも言い過ぎてしまう。 「別れたって、父さんは父さんだよ。一周忌が終わったら、伯父さんにお位牌をもらったら?生涯他人任せでは、なんか切ないじゃない」 そこで前述のセリフを次女は吐いたのだ。 でも、本当は形なんてどうでも良いのかもしれない。 彼女らだって、今に嫁げばその処置に困る日が来るだろう。 わたしの中には、ちゃんと向き合えていた時の彼が住んでいるし、きっとそれでいいのだと思う。 お墓だのお位牌だのって、それはどこにあってもさして問題ではないのかもしれない。 思う気持ちさえあれば、いつでもお墓参りはできるのだし。 そんな話を、次女とした。 少し酸味の強い赤ワインを口に含みながら。 多くを語らなくても、彼女らはちゃんと心得ている。 そのことが、そこはかとなくわたしは嬉しかった。 これこそが、わたしと彼が成し遂げた共同作業だったのだ。 今更ながら、感じ入っている。 これで良いのだ、と。 窓の外は、いつ止むとはしれず雨が降り続いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年10月10日 12時42分12秒
|
|