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カテゴリ:里山の田圃
おざなりな田圃の除染 ようやく町による除染説明会が開かれた。それが何ともお寒い内容でガッカリさせられた。 国が補助金を出し、町が音頭をとるが、あとは各農家で自主的にやれという。現物給付のセシウム吸着剤のゼオライト200キログラムとカリウム肥料200キログラム(各10アール当たり)というとてつもない量を散布して深さ30センチを目標に上下を反転させて耕すか、もしくは深く耕やし撹拌して希釈させるという。 耕起と散布は農家が保有する農機具を使用するとのこと。ところが殆どの農家は反転させるプラウを備えた大型農機を持っていないし、ましてや中山間地は湿地の深い田や小さな田が多く、とても深耕するための大型の機械は入れない。高齢化した農家にはこうした深耕作業や10アール当り400キロもの吸着材や肥料を撒くのは大仕事だ。さらに今年は例年にない大雪で未だ田には雪が積もり水が滲み込んでいる田を深耕するのは相当な難行が予想される。町や農協で農業機械を準備し貸し出すつもりはないようだし、人手がなく対応が困難な農家に対して団体や組織、業者を斡旋して除染作業が円滑に進むような調整をするつもりもないようだ。 そもそも、この方法には専門家の異論も多い。例えば 農業情報研究所「反転耕で線量は下がっても、新たな作土となる下層土は何百年も耕されたことのない死んだ土だ。それでどうやって満足な収量を上げるのだ。どんな病虫害が出てくるか、それもわからない。」と指摘する。 しかも隈なく放射線物質に汚染された山林に囲まれた田は、雨が降るたびに、そこから流れ込む雨水に寄って汚染が繰り返される。先ずは周囲の除染から始めなければ小手先の除染にしかならない。計画的避難地域では企業や大学の研究者らがプロジェクトを組んで汚染状況の調査から始めて地理的な状況を踏まえた上で様々なで除染方法を試行していると新聞やテレビはでは報道されているが、今回のたんぼの除染には、そうした先端的な方法は全く取り入れらていない。 田植えの時期から逆算すると除染の時間が限られているから当座の方法として今回の措置がなされたのだろうが、そうした説明がされていない。一回のゼオライト散布、撹拌すれば、梅雨の時期に周囲の山林からの流失し移動してくるであろう放射性物質の吸着の効果がは持続するのか等の説明も一切ない。 相変わらず情報提供は十分なされず、やみくもにやることだけを強要する。原発事故後の避難時の情報操作の反省が全く生かされていない。農家からすれば藁をもつかむつもりでやるしかない。何とも貧困な政治がまかり通っていることか。 来週は、行政区内の農家で今後の除染作業をどうしていくか話し合うことにしている。一農家が単独でやるよりも、希望する農家同士がみんなで協力してやることで機械の不足を補えるし、作業もはかどるに違いない。昔の”結”の現代版が一時的だが復活するかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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