~初めての請負~その8
お寺様が到着され、ご主人とご両親で改めてご挨拶を済ませ、開式時間を待つのみとなりました。ところが、驚いたことにご主人のご近所の方々が数名お参りに来られたのです。粗供養の品は念のため準備しておいたのですが、これにはご主人も大変驚かれていました。故人様は、ご近所の方々とも親しくされていたことが伺えました。そして、いよいよ開式時刻の12時。お寺様のご入堂とともに葬儀はスタートしました。喪主を含めご家族と関係者、ご近所の方々、計13名のお葬式。人数は少ないですが、心温まるお葬式であったことを鮮明に記憶しています。特に、出棺前の最後のお別れ。この時申し訳ないのですが、私も久しぶりに涙してしまいました。今回喪主を務められたご主人とその娘さんご家族は、故人様と血の繋がりは無かったのですが、誰から見ても本当の家族に思えるほどの一体感がありました。ご主人は喪主として、参列者に対するお礼のご挨拶も立派にこなされました。ついに、ご出棺。火葬場での収めの式。そして、収骨。変り果てた姿となった娘の遺骨を抱き、その日の内にご両親は実家へと帰られました。ご主人には最後の最後まで深々と頭を下げながら・・・。数日経ち、私はご主人宅へご精算に伺いました。その時のご主人、葬儀の疲れが残っているのと、日が経つ毎に寂しさがこみ上げて来ているのとで元気が全くありませんでした。私は、時間が許す限りご主人の側で奥様の思い出話に耳を傾けることにしました。 ※ ※ ※8回に渡ってお届けした~初めての請負~も今回で最後となります。お亡くなりになられた原因が師匠と同じ病名、そして喪主と故人様が血の繋がりのないご関係等、イレギュラーな対応を必要とする部分が多かったやまさんの初めての請負でした。この記事をでは、葬儀社側のスタッフとして私一人が浮き彫りになっていますが、そうではないことをお伝えしておきます。一人で頑張った所で出来るものではありません。影から支えてくれるスタッフが居るからこそ、成り立つのです。支えるスタッフの方が大変っていうケースもあるんですよ(笑)。でも、世の中には私以上に壮絶で不思議なご縁のある、初めての請負を経験されている方もきっといらっしゃるはずです。何が起こるか分らない、どんな壮絶なドラマが待ち受けているかは見当がつかないのが葬儀の世界です。臨機応変に早急な対応と判断が必須の世界でもあります。