水処理の効率化を目指した技術や素材の開発活発に
日経新聞によれば、東レは、微生物等の汚れがつきにくい高性能な水処理膜を開発したという。透過させる穴を10ナノ以下の極限まで小さくし、汚れや微生物などが入り込まない構造にした。これにより、膜の洗浄の手間が減り、耐久性も向上し、ランニングコストの低減が見込めるという。世界的に水資源の安定確保の重要性が高まっており、水処理技術の向上が求められている。膜の素材にはポリフッ化ビニリデンと呼ばれるフッ素系の樹脂を使うと言う。強度や耐久性に優れ、水処理膜としての利用が広がっているが、精密な加工が難しかったという。今回は、独自の技術を駆使し、水の透過性を確保しながら、穴のサイズを10ナノメートル以下まで小さくすることに成功したという。開発した膜は、これを束ねて装置内で水を取り込み、ろ過する。河口付近やダムなどの汚水を浄化し、水道や工業用水の製造に利用できる。下水の再利用や海水淡水化の前処理にも応用可能という。通常、水処理は、付着した汚れを取り除くため定期的に洗浄しているが、膜表面の汚れは簡単に洗い流せるが、水を透す穴に入り込んだ微生物などは除去しにくかった。こうした汚れがたまると処理効率が落ちるという。開発した水処理膜の穴は、微生物より小さく、汚れが付きにくい。水を透過させるときの抵抗は従来品の半分という。洗浄に使う薬品を減らすこともでき、耐久性も上がるという世界的な人工増加や経済成長に伴い、水資源の不足が懸念されているが、東レは水処理関連企業の強化を打ち出しており、2015年までに1000億円規模まで引き上げる計画であり、旭化成なども事業拡大に乗り出しているという。このブログでも、かつて、以下の様に述べていた。Dec 1, 2006日本の技術で淡水を作れ 今日の日経新聞で、地球環境問題で持続可能性を維持するには、総力戦が必要であるとしている。バイオ燃料普及については、日米ともに強化するとしているが、熱帯雨林の生態系はくずれ、国立環境研究所や東京大学などによると、2071年から2100年には、日本の夏の気温4.4度上昇し、熱帯になるという。こうした中で、私たちがしなければならないことは、太陽エネルギーを駆動力とする水と大気の大循環システムによるエントロピーの廃棄循環システムの維持である。地球上の生態系はこの水と大気の大循環システムにより、生命を維持しているのであり、このシステムを人体にたとえれば、淡水資源は、血液のようなものである。森林減少に対抗して植林をするにしても、砂漠化した大地で農業をするにしても、海外から農作物を輸入するために、農作物を生産してもらうにしても、結果としてバイオ燃料を手に入れるためにも、淡水資源がなければ始まらないのである。日本は、イオン交換樹脂の技術で進んでおり、すでに、砂漠の石油大国などに、海水の淡水化システムを提供していると聞くが、その技術を、もっと高度化し、経済的にし、先行的に投資する必要があるだろう。地球環境を維持する、水と大気の大循環システムの血液である、淡水確保技術をあらゆる地球上の水不足地域に貢献できるように、経済的に実用化することが、今日本が環境問題解決に対してできる最大の貢献かもしれないのである。