『伝わる・揺さぶる!文章を書く』 山田ズーニー
★「自分が書いた文章を読み終えたとき、読み手に、どう言ってもらいたいか、 その言葉で結果をイメージする。」(p60) ★「主語があいまいということは、責任があいまいということだ。」(p186)★「リスクが取れない人の文章は受動態が多い。」(p186)★「自分の思考停止ポイントはなんだろう?」(p210)【サラっとく?】●以前紹介した『あなたの話はなぜ「通じない」のか』の著者、 山田ズーニー氏の著作です。話を「通じさせる」ために 一番大切なことが何だったか、覚えていますか?●それは「問い」を共有することでした。自分が話していることは何に対する 意見なのか・・・会話の「ゴール」を明確にすることによって、始めて議論を進める ドリブルもできるし、「あっ」と言わせるシュートも打てる。そんな話をしました。●文章においても相手に「伝える」ための基本は同じです。10年以上の長い 年月を「小論文」に費やした著者だからこそ「伝え」られるテクニック。 胸の奥にドスンと響く、重いシュートになることは間違いないでしょう。●知っていると役立つのは「物事をダイナミズムの中で捉える」というテクニック。 そのために、著者は「空間軸」と「時間軸」を利用することを勧めています。 例えば、子供に<食べ残しはよくない>と教えたいとき、「食べなきゃ大きくなれないよ」という決まり文句を使ってしまう方は多いのでは?●これを、空間軸を広げて「アフリカには、食べるものがなくて土を頬張っている 子もいるんだよ」といってみる。もしくは時間軸を広げて「戦時中は一杯の米を 涙を流して食べたんだよ」といってみる。●前者の決まり文句は一面的であり、子供は「あぁまたか」となってしまいます。 それに比べ後者は立体的な印象を与え、説得力が増しています。 思考の袋小路に 陥ったときはこのように、物事をダイナミズムの中で捉え直してみて下さい。【突っ込んどく?】●「主語があいまいということは、責任があいまいということだ。」(p186) 狩猟民族というのは「俺が」「俺の」と自分の獲物や功績を主張する必要があります。 でなければ、領域も守れなかったし、子孫も残せなかったのでしょう。●対して、農耕民族というのは主体を明確にする必要がありません。 「村の」とか「畑が」と言っていれば事足りるわけです。 「I, You」と明確に主体を示すアメリカ人に対して、日本人は主語を明確にしない といわれるのもここに起因しているのかもしれません。●この特性も戦後は、日本型雇用システムや護送船団方式などのもと、 組織一体となって、日本経済を牽引することに役立ったのでしょう。 しかし現在は、どれだけ高い平均値を示すかではなく、 どれだけズバ抜けた人材がいるかで、企業の力、国の力が決まる時代です。●そのためにも、主語をしっかり明確にし、自己主張をしていかなければ いけないのではないかと思います。それに、主語が明確な文章というのは 責任の所在も明確なので、読んでいて大変気持ちのよいものになりますよ♪オススメ度★★★☆☆→ビジネスマン 就職活動中の方 文章で相手を「揺さぶり」たい方