カテゴリ:言霊の宿る国の言語学
またや見む 花の浪さへこゆるぎの 磯の枕の 春のあけぼの(谷宗牧) 谷宗牧(たにそうまき)は、最晩年の春に、相模のこゆるぎの磯辺の宿で花見をして、一夜明けて目覚めたときの曙を愛しむように眺めた。 そして、自分はこの風景を生涯見ることはないだろうと思い、自身の感動と心境を込めて詠んだ歌だそうだ。 宗牧は、宗碩や宗長を師とし、室町の戦国時代を生き抜いた連歌師だ。 連歌(れんが)っていうのは、鎌倉時代に興り、南北朝から室町にかけて完成した日本の伝統的な詩の一種なんだ。 基本的に和歌の五・七・五・七・七の韻律を基にして、複数の人による連作で一つの詩を構成するもの。 連歌からは、さらに室町中頃から江戸にかけては、さらに前衛的な作品を目指して、より縮小省略した世吉(四十四句)、歌仙(三十六句)、半歌仙(十八句)なども派生した。 宗牧は旅を好み、各地を巡っては連歌の会を催し名声を得た。 そして、この歌が収められている東国紀行の道中に、宗牧はその生涯を閉じた。 歌にあるように、湘南の大磯で見た桜と、一夜明けて相模の波を照らす曙が、宗牧が生涯の旅の終わりに目にして、最期に感動した景色だったんだろうね。 砂も、この先も孤高の人生なんだと思うから、せめてこんな命の終わり方をしたいと思う。 砂が最期に目にする桜と朝陽は美しいだろうか... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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