求天記―宮本武蔵正伝―を読む
久しぶり行った図書館で借りて読んだ歴史小説です。新刊の所にあったので、なんとなく手に取ったのです。正直言って、武蔵には興味があまりなかったのです。歴史の流れが好きで、剣豪とか個人能力的なものが描かれてるのはどうも好きではないのです。しかし「信長の棺」など新説が話題の加藤廣氏の本を読んでみたかったので、借りてしまいました。読んでみるとやっぱり面白かったです!!以外な事に武蔵個人の事もさる事ながら、仕える事になる細川家の内情や大阪の陣の事など、そのまんま大好きな戦国時代やん!と思いました。武蔵というと剣の修行や果たしあいばかりかと思っていましたから、戦国武将との交流なんてないもんだと決めつけていました。細川家の他に真田幸村や、後に仕える事になる水野家など、その時々の武蔵の心情や葛藤も面白かったです。実は武蔵の事はそっちのけで、戦国の終盤を楽しんでいました。他の作家さんが書きつくしている誰でも知っている事を面白く読ませる技術がスゴイと思いました。486ページあったのです、最近ではめずらしくすぐ読んでしまいました。前半に巌流島の決闘が終わってしまいまして、「えっ?もう終わっちゃったの?」という感じは否めませんが、しかしそれだけをクローズアップしていない所も気に入りました。元々、武蔵本は全然読んだことがないので、どれが本当かも分かってないのでよけいスルスル入れたというのもあるかもしれません。小次郎がキリシタンだったかも?という所にも興味をひかれました。戦国時代とキリシタンの関係は、あまり世間では語られてないのでもっと取り上げて欲しいと思ってたのです。細川家では、キリシタンに寛容だったのですがその後の幕府の政策で弾圧に乗り出す所も描かれてました。そして、終盤では島原の乱も登場します。それには、天草四郎が豊臣秀頼の遺児だと囁かれていると書いてありました。なるほど~色んな異説がありますが、それは初耳だったので新鮮でした!武蔵はここでもあまり活躍できませんでした。戦国の世では剣で名をあげる事は出来ない。個人の技ではなく、軍略が一番だと言う事を悟る武蔵。それが証拠に源平時代には弓で名をあげた人たちがいたけど、戦国では合戦において剣で名を残してる人はいませんものね!源平時代と戦国では戦い方が全然違いますしね。戦国では鉄砲が主流になってますが、鉄砲の腕がめちゃめちゃいいから名をあげた人っていないですね。雑賀衆とか根来衆とか、集団では評価されてますけど…。次はやっぱり「信長の棺」ですかね。テレビで放送されてたので結末は知ってるのですが、どのような文章で描かれているのか読みたくなりました。