百物語 杉浦日向子
盆暮れ正月になぜか読んでいる漫画。私が持っているのは新潮文庫。もとの新潮コミックス三巻分が、合本で一冊になっているので分厚いです。辞書のような頁の重なりが好きで、ぱらりぱらりと開きます。絵がふしぎです。いろんなタッチの絵があって、風とか夜とか情とかが描いてある。夢とか季節とか。江戸のご隠居さんが、そこらの人に声をかけて集めた、不思議な話や奇妙な話が99話。絵だけじゃなくて、言葉も際立ちます。(だから、こうして業を深めているじゃないか。)杉浦さんはついこないだ、この頁のうらっかわにふらりと散歩に行ってしまいました。江戸に向かって帰られたのかもしれません。上品で乾いた怪談です。似たものはありません。