シドニーのバーで
♪ And the waitress is practicing politicsAs the businessmen slowly get stonedYes, they're sharing a drink they call lonelinessBut it's better than drinkin' alone ♪ビリー・ジェエルの「ピアノマン」を黒人の専属歌手がピアノの弾き語りで歌っている。ビリーの歌の中ではこの曲が一番好きだ。♪ 孤独という飲み物を分かち合っている でも1人で飲んでいるよりはずっといいさ ♪移住を求めてシドニーのキングスクロスの安宿に投宿していたときに、ステーキハウスの中にあるバーで飲んでいた。1985年の6月のことだった。誰とも話しをしない日もあった。きっといつか永住権を取るという意気込みとは別に、得体の知れない恐怖感にも襲われる。「どこから来たの?私ニッキー。」弾き語りを聞いていたら、隣の金髪女性が話しかけてきた。アメリカ人だった。やはりこの国に永住を希望しているとのことだった。「タコといいます。今月来たばかりだけど、これからバスでオーストラリア中を回ってこの国を見てみたんです。」ニッキーは若作りだけど年は私より3つほど上だとわかった。いろいろとやりながら、シドニーに流れ着いた人の1人だった。「きっと永住権が取れるといいわね。私ここに時々来るの。来たら、いろいろな人と話もできるわ。タコもまた来たら?」「ピアノマン」の歌をそのまま地で行くように人々が集まってくる。先の見えない孤独を暖める小さな空間だった。私は、それから間もなくアズキ色の大きなバックパックを買って旅に出かけた。下の箱をポチッとクリックお願いいたします