椿姫 ラ・トラヴィアータ~トリノ王立歌劇場来日公演
ナタリー・デセイ渾身のヴィオレッタ、すばらしかったです!!1幕からずっと出ずっぱりなのに、抑えたりとかせず、ペース続けていくのですからすごいです。そして、あいかわらずその時その時の感情にさぁーっと入り込み、真実味凝らして訴えかけてくるのです。細かな感情の移ろいがビンビン伝わってくるのですから、こちらもグイグイ引き込まれていきます。デセイは、歌の表現だけでなく、オペラグラスで見る表情も、その場の役どころと完全に一致して見せてくるのが、やはり魅力です。メロメロになってしまいました。 マシュー・ポレンザーニは、いかにも単純実直なアルフレードで、わたしはかなり気に入りました。デセイという大看板相手に、相当気合い入れていたと思います。 ローラン・ナウリのジョルジョは、崇高でいながらなんと人間味にあふれていることか!高身長という見た目の優位もあるでしょうが(デセイは彼のみぞおちくらいに頭があり、非常に身長差ある夫婦であることを実感!)、相反する項目を見事に溶け合わせ表現していて、素晴らしいです。2幕登場の、あまりにも居丈高さ、そしてヴィオレッタの気持ちを知り、理解をしていく。その理解は決して階級の下の者への慰みではなく、人間として敬意を払っている。しかし、人間臭くなりすぎることなく、あくまで貴族の誇りは持ち、つまりヴィオレッタへの敬意が自身の誇り高さや高貴さをかえって引き立たせる。すばらしい役作りです。 マエストロ・ノセダは、ラ・ボエームの時よりオケを裏方に徹しさせていました。弦だけでなく、木管や金管もなんと心地いいことか。1幕ヴィオレッタのアリアに流れるクラリネットは本当に美しかった。ラ・ボエームのときもそうだったのですが、今日も不思議に感動というより、とにかく至福の満足感で満たされています。感動というのは、ある種の緊張をともなうものなのかも。今回はとにかく心地よかった。マエストロ・ノセダの音楽を感じることができたような気がします。 指揮 ジャナンドレア・ノセダ演出・衣装 ローラン・ペリ復元演出 ローリー・フェルドマン合唱指揮 ロベルト・ガッビアーニヴィオレッタ・ヴァレリー ナタリー・デセイアルフレード・ジェルモン マシュー・ポレンザーニジョルジョ・ジェルモン ローラン・ナウリフローラ・ベルヴォワ ガブリエッラ・スボルジアンニーナ バルバラ・バルニェージガストン子爵 エンリーコ・イヴィリアドゥフォール男爵 ドナート・ディ・ジョイアドビニー侯爵 マリオ・ベッラノーヴァグランヴィル医師 マッティア・デンティダンサー シモーナ・トスコ、ルカ・アルベルティトリノ王立歌劇場管弦楽団・合唱団平成22年8月1日 東京文化会館大ホールにて