相談と筋肉2
今日もさっそく、悩める人々からお便りが届いている。これから読み上げるから、良い解決策を導き出してくれ。 うむ。 「私は、とある企業でサラリーマンをしている者です。私の悩みは、周囲の同僚から仕事を押し付けられてしまい、なかなか自分の仕事をすることができません。一体どうすれば良いのでしょうか?」 なるほど。察するに、彼は周囲から頼られてしまい、それが仇となって苦しんでいると思われるな。 そうなのか? 俺としては、彼は断れない性格のため、周囲がそれを利用して、怠けたがっているとしか思えないんだが。 まあいい、例によって、偉大な筋肉家である俺が、うまく断る手本を示すとしよう。 今度はちゃんとやれよ。 タイタスさん、悪いけど、この書類を明日までに整理しておいてくれますか? 出来ません。 何故…できないんでしょうか? それは、あなたが魔法の言葉を唱えないからです。 魔法…の言葉…ですか?一体何ですかそれは? 「この通りです、どうかお願いいたします」という言葉です。 こ、この通りです…。ど、どうかよろしくお願いいたします。 そこまで言うんじゃあ仕方がないな。幸いにも、俺は心が広いからやってあげてもいいぞ。 あ…ありがとうございます。では、よろしくお願いしますね。 待ちたまえ。 はい?なんですか? よく見たら、この書類は紙で出来ているじゃないか。俺はこんな軽いものを持ったことがない。全て石版に書き写してから出直してくれたまえ。 なんだコレ? これでうまく断ることができるはずだ。 こんな態度できるなら、とっくに断れているはずだろう。 うむ、要するに筋トレをして、力強く断れるようになれば良いんだ。 (結局、筋トレに逃げたか…)