シルヴィオ・ソルディーニ監督、出演はリーチャ・マリエッタ、ブルーノ・ガンツ。イタリア映画は久しぶり。音声を聞いてるだけでも、楽しそうだし、ヴェネツィアが舞台だしと、気楽に見ていたら、とても良い映画でした。リーチャ・マリエッタが良いですね。物語は「変身願望+見知らぬ街+人との出会い」という典型的構造ながら、随所に映画的なチャーミングな映像がたくさんありました。例えば...低めのアングルで、無人の廊下が映ると、左手の部屋から、後ずさりしながら、ロザルバ(リーチャ)がカメラに入ってきて、背伸びをしたり、きょろきょろしたり...何をしてるか全く解らないのですが、そのうち本を踏み台代わりにして...あ~鏡を見ているんだ...新しいワンピース(新しい生活のメタファー)を着てみて、腰高の壁掛け鏡に、なんとか全身映らないかな~と...。このあと、家主のクロゼットの姿見を拝借している時に、偶然、アコーディオン(自由への扉)を見つけるのです。この無言の数分間が、なんとも素晴らしい。
ソルディーニは、新世代を代表する一人ですが、作品を見たのは始めてです。「イタリア映画祭2001」で、やはり、リーチャ・マリエッタを主役に迎えた、処女長編「Le Acrobate」(邦題=アクロバットの女たち)を上映したのですが、短期間に集中する映画祭では、なかなか、全てをカバーできず、結局、見られずじまいでした。その時は、タヴィアーニ兄弟やマッツァクラーティ、マルトーネあたりを見たのですが...「アクロバットの女たち」も見ておけば良かったなぁ。
とにかく、エンディングの「モルト・フェリーニ(笑)」なダンスシーンまで、映画は楽しい~と思わずにはいられない作品でした。原題は「Pane e tulipani」(パンとチューリップ)。「携帯メール」ではなくて「置き手紙」に添えられた、この2つのモチーフ。さあ、勇気を持って、一歩前へ踏み出しましょう。知られざるもう一人の自分に会えるかも知れませんよ。
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