地獄の其処の、幸福論者
途方も無い努力と、気の遠くなるような苦痛の先に、一枚の絵の完成がある。完成までの道のりは、辛くて辛くてしょうがない。なぜこんな思いをしてまで作品を作っているんだと、自分の正気を疑い、それが止まない。どうしようもなく損な行いなのではないか?ただ苦労をするばかりで、なんの意味もないのではないか。◇完成したときの達成感で少しだけ救われる。自分の描きたいように描けた時の喜びに少しだけ救われる。たまたま良い線が、良い塗りができて、その偶然に少しだけ救われる。誰かがその絵を見てくれたら。少しだけ救われる。もしたくさんの人が見てくれてら、その分だけ救われる。もし誰も見てくれなくても、いつか見てもらいたいと、そう目標持つ瞬間に少しだけ救われる。たくさんの救いが、目を凝らせば見えてくる。ひとつひとつはたった一瞬の『救い』だけど。◇天秤にかけたら、どちらに傾くのだろう。