日本9位
日本の現状は世界の第9位である、と昨日の日経夕刊に紹介されていた。「なるほど ビジネスMap」というコーナーである。何が9位かといえば、投資信託の残高がであり、2006年9月末時点の各国の投信残高を国際投資信託協会が調べたもの。それによれば、(円換算は1ドル120円で算出)01位:アメリカ 97270億ドル(1,167兆2,400億円)02位:ルクセンブルク 19880億ドル(238兆5,600億円)03位:フランス 16580億ドル(198兆9,600億円)04位:オーストラリア 7770億ドル(93兆2,400億円)05位:アイルランド 7260億ドル(87兆1,200億円)06位:イギリス 7010億ドル(84兆1,200億円)07位:香港 5670億ドル(68兆400億円)08位:カナダ 5450億ドル(65兆4,000億円)09位:日本 5270億ドル(63兆2,400億円)10位:イタリア 4420億ドル(53兆400億円)また記事では、同じ時点で、家計に占める投信の割合は4%に過ぎない(日銀資金循環統計)とも紹介しており、現預金が51%であることを考えると、まだまだ貯蓄に偏っているのではないかとしている。欧米諸国が上位、アジアから香港と日本というのは、何となくだがイメージどおり。ただ、5位のアイルランドもだが、ルクセンブルクが2位というのは意外であった。そこでちょっと調べてみると、ルクセンブルクはベネルクス三国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)のひとつで、南にフランス、西と北にベルギー、東にドイツといった各国に囲まれた国だ。国土の面積は世界167位、人口は世界163位の小国である。日本でいえば、神奈川県や佐賀県くらいの広さの国土に、人口は46万人強(神奈川県は約870万人、佐賀県は約87万人)という。しかし経済は豊かで、一人当たりの国民総所得(GDP)は世界一位を誇る。ルクセンブルク内の大企業のほとんどは、貴族の流れを汲む富裕層の家族経営であるという。基幹産業は、銀行・保険業、鉄鋼業だ。もともとは貧しい農業国だったが、19世紀後半頃から豊富に採れる鉄鉱石を輸出し、これが経済の源となった。1970年代のオイルショックを契機に、産業構造を刷新して金融立国へと転換した。1995年時点で約7000の持ち株会社、約900の投資ファンド、約220の銀行があり、EUにおける最大の金融密集地でもあるそうで、大手の保険会社、再保険会社が子会社を設立してもいるらしい。まさに金融立国の様子が窺えるが、だからこそ世界2位の投信残高を記録しているわけなのだ。それにしても、こうして国の沿革を調べてみると、どうも2月15日に書いた朝日新聞の記事に関する「日本経済の転換期」へと繋がっていくようではないか。