ラップと401k
今日は大阪まで講演に行って、今その帰りの新幹線の中。往きは豊橋駅の新幹線の線路内に、不審者が入り込んだため、名古屋駅へ50分遅れで来た新大阪行きに、指定席に関わらず乗り込み、会場に滑り込む。新大阪行きなら、京都しか止まらないから、空いてる席に座れば、まず大丈夫。京都から新大阪までだけ、新幹線に乗る人はそうそういないだろう。ただ最悪立って行くつもりで、腹をくくったので、駅弁ではなく、アーモンドチョコレートがお昼ご飯になった。
企業が退職金制度に導入する「確定拠出年金制度(通称401k)」は、従業員自らが自分の退職金を運用していく制度だ。そのための投資教育として、運用の基礎知識をご紹介してきた。(2時間を2回。マイクなしだったから、少し疲れた。)運用収益が非課税であったり、将来の受取も各種控除が適用され、税制優遇措置があるのが大きなメリットといえる。
日経新聞には、「ラップ口座」の小口化が広がっていると記事になっていた。従来は1億以上とか、3億以上の預り資産から対象にしていたが、団塊世代を囲い込むのが目的で、その最低投資金額を1,000万円に引き下げる動きが各証券会社に広がっているというものだ。
ラップ口座は、個人投資家の運用方針に沿って、資金を一任勘定で運用する仕組みで、証券会社はその預かり資産に対して2%前後の手数料を受け取る。投資家の資産が増えれば、それだけ証券会社も儲かる、ウインウインの関係になる。また顧客から一々注文を待たずとも、顧客の運用方針に沿っていれば一任で機動的に運用できるため、その効果も期待できる。
ところが1,000万円からとなると、中身は投資信託を使うことになる。個別銘柄では資産規模からして、充分な運用はできないからだ。しかし投資信託は、持っているだけで信託報酬を顧客が負担していることになるから、その預かり資産に2%前後の手数料を追加で取られるのは、決して得策ではない。また投資信託はETFでない限り、指値で売買できるわけでもなく、そもそも機動的に売買する商品性ではない。そうすると、ラップ口座にする意味がないのだ。
一方、確定拠出年金の運用商品は、定期預金や保険商品もラインアップに用意されているが、投資商品は投資信託を使っている。しかも口座管理で2%前後の手数料を取られるどころか、管理手数料なしで、かつ非課税で運用できる。おまけに通常1万円からしか購入できない投資信託が1円から購入できる。(裏返せば、運用規模が小さいからでもあるが…。)確定拠出年金で運用する従業員が、ラップ口座のように、あるいは年金基金などのプロのように、資産配分に重点を置いた運用をすれば、大きなメリットになるに違いない。
帰宅してから食事をするつもりだったが、やっぱり車中で駅弁を食べることにした。決して豪華ではないお弁当。疲れもあるのでアルコールはやめた。往きの新幹線のハプニングが、余計に疲れさせている。