不合理でどうしようもない?
行動経済学者ダン・アリエリー著「予想どおりに不合理」を読んだ。これは論文というよりも、平易に書かれた実験書というべきものだ。だから、誰にも簡単に読める。内容的には、経済学において、人間は合理的な存在であることが前提だ。だが、本当にそうだろうか? 実は、不合理なことを一杯している。それを様々な実験で示し、「だからどうしようもない」というのではなく、不合理を侵す理由を探り、今後に活かすのが、彼の実験の原点である。以下に、その実験をいくつか紹介しておく。興味深いものがあれば、読んでみるといい。予想どおりに不合理例えば、経済雑誌のWEBに、こんな広告があったら、どれを選ぶだろうか? WEB版なら年6,000円、印刷版なら年12,500円、印刷版及びWEB版のセットなら12,500円である。さあ、どうだろう?通常2,000円もする高級チョコレートが1,000円、150円の板チョコが50円。どちらを選ぶだろうか? そして今度は高級チョコが950円、板チョコが無料だったら、どうだろう?何も知らされずに、普通のビールとバルサミコ酢の入ったビールの試飲をしてみる。どちらかをもう1杯飲めるとすれば、どちらを選ぶだろうか? 今度は「これは普通のビール」、もう1つの「これにはバルサミコ酢が入っている」と聞いてから試飲したらどうだろう?バルサミコ酢の入った方を選ぶ、なんてことはあるだろうか?ごくごく一部しか紹介していないが、他にもたくさんの興味深い実験が、主にマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生に対して行われた。素朴な疑問を出発点に、それについて実験をしてみる。他の可能性も考え、さらに実験してみる。その過程が楽しいし、確かに自分でも「思わずやるよね」と納得の結果が導き出されている。