消えたカード
今日は名古屋市内で、ある銀行の本部にて、セミナーを行なった。若手を中心に、行員向けの資産運用のセミナーだったのだが、3年ぶりのことだった。毎年この時期に開催しているのだが、一昨年は先約があって、2年間途切れていたのだ。9時半到着を目指して家を出たが、少し遅れたため、急いでバス停に向かった。途中で、ICカード「TOICA」を財布から出すのを忘れていたことに気づき、歩きながらカバンを持って財布を広げて出そうとした瞬間、目の前にあったICカードが消えてしまった。手からこぼれ落ちそうになったので、カバンと体でキャッチしたはずだったが、消えてしまった。道路上に落ちれば、小さな音がするはずなのに聞こえなかったので、きっと開いていたカバンに入り、書類の間にでも刺さったに違いないと、歩きながらカバンのなかを探った。しかし、ない。もちろん、路面も見たがない。立ち止まってカバンの中をひっくり返してみたがない。そのうちに、バスの発車時間が過ぎてしまった。しかたがない。歩いて駅へ向かう。当然、バスに乗れなかったのだから、歩いては間に合わず走る必要がある。走りながら、カバンをまさぐりながら、途中で追い抜いたおばさんに、立ち止まって探したりしている間に、また追いつかれてしまい、覚悟を決めた。猛ダッシュ。とりあえず、券売機で現金で切符を買う。これがICカードに慣れてしまうと、ことのほか面倒だ。電車に乗ると、汗が滝のように流れ出た。扇子で扇ぎながら、ハンカチで汗を拭きながら。それでも、諦めきれずにカバンを探る。しかし、ない。もう諦めた。ケータイメールで妻に連絡。道路を探してみて、と。無事に銀行の本部に到着したが、打ち合わせをしてから、開始前にトイレを借りた。手を洗い、背中を見て驚いた。肩から背中にかけて、背広が汗で濡れている。マフラーは早々に取ったが、コートは着たままだった。グレーのスーツだったから、よく目立つ。今度は冷や汗が出た。セミナー自体は予定通りの進行で、無事に務め終えた。2時間弱のセミナーが終わった頃には、スーツも乾いていた。本部を後にして駅へ向かう途中、歩きながら電話で妻に聞いてみたが、やっぱりなかったようだ。どこへ消えたのだろう。表がブルー、裏がシルバーのカードだから、きっと落ちたときに角にあたって転げて、シルバーの面を上に落ちたのだろう。「TOICA」発売当初からずっと使っていたからキズもついて、それなりに愛着もあったのに。無記名だから、もはやどうしようもない。残高は、たぶん2,000円前後あったはず。ついていない。今日は従妹の誕生日だったかな? 高校生の頃、自転車で事故に遭ったが、それが3月で従妹の誕生日だった。それから、たびたびついていない事態が起こると、不思議と、従妹の誕生日と合致していたのを思い出した。考え過ぎかな? それで自分なりの区切りをつけようとしているのかもしれない。