カテゴリ:詩歌のようなもの
咳き込んでいたら、会社の女の子から風邪薬をもらった。
「PANPYRIN-F」という内服液だった。 「MOMOさん、この薬飲んでみてください。 私が飲んでいる薬なんですけど、よく効きますから。咳、止まると思います、、」 「でも、ちょっときつい薬なんで、気をつけてくださいね。 寝る前とかがいいと思います。お大事になさってください、、、」 もうかれこれ2週間も、風邪をひいて、咳き込んで、苦しい思いをしていたから、 ありがたくもらった。 顔はにっこり笑いながら、風邪薬を持っている手は、 あげよかな、でもどうしようかな、ってすこし揺れているような気がした。 それにしても、もらってすぐ飲んで、 ふらふらと夜の街へ飲みに出かけるとでも思われてるんだろうか。 薬で多少ふらふらしつつ、車の運転をすると思ってるのかなあ。 国際免許もないし、自動車も持ってないのに。 むむ、む、考えすぎ。 別れた後、自宅に帰った。 帰りの地下鉄で、すぐにも飲もうかと思ったが止めて、自宅まで帰る。 部屋の明かりをつけ、薬をダイニングの棚のところにおいた。 しばし考えて、自分の風邪薬を飲んで寝る。 「カゼグスリ」は、お守りにしたのだ。 ときどき、「カゼグスリ」を見る。たまに手に取る。 もらったときのことを思い出す。 禁煙しなきゃな~、、、と思う。 彼女はタバコのこと、何もいわないけど、好きじゃないだろうし。 というわけで、彼女からもらった「カゼグスリ」は、今もダイニングの棚のなか。 まるで写真立てのように、鎮座しているけれども、 ぼく以外の人には、風邪薬にしか見えない。 彼女からもらった風邪薬のことは、とりたてて誰にも言わない。 お守りにしている「カゼグスリ」のことは、彼女にも言わない。 ぼくだけの秘密だ。大人には大人の小さな秘密がたくさんある。 記:とらのこども psこのプログ、小さなウソがある。だから、詩歌のようなもの。 ときどき、詩歌のようなものをアップしていきたい。 そのなかに、願望や、大事にしたいちょっとしたことを書きたいからだ。 それを見破っていただければ、幸いである。 幸せのための小さなウソ、小さな秘密は、どこにでもあるもの。 それは、人生の小さな花のようなものかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.06.06 11:25:50
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