カテゴリ:詩歌のようなもの
夜になって雨が降り出す。
街はまだ明るさを残しているけど、週末とは違って人影も少ない。 通りに雨が落ちる。 小さい水溜り、大きい水たまり。通りの上は、うすい、うすい川。 水たまりから、排水溝へと流れていく。今日は結構な雨だ。ちょっとしたスコール気分。 空を見上げると、街の明かりの反射だろうか、 夜遅くなのに、上のほうに明るさが残ってる。明るい雲の中から雨が落ちてくる。 傘を差して歩く。 水たまりを少しでもよけて、水の少ない街路を、かかとを上げて歩く。 二人は遠くなったり、近くなったりしながら歩く。 お店の前にはひさしが出ていて、そこであれば雨に濡れなくても済む。 今度は、並んでひさしの下を歩く。 ひさしはずっと続いてなくて、切れ目がある。 切れ目が来るたび、傘を差す。 僕が差して、彼女と一緒に入る。 「ちゃんと二本あるのに、、、」と彼女は見上げて笑う。 肩を抱いて、二人で歩く。 また切れ目があって、切れ目のたびに二人の距離が近くなっていく。 手を腰に回して、歩調をあわせて、二人三脚のように歩く。 やがて切れ目もなにも無くなって、雨の中、通りを歩いてく。 傘は1本しか使わない。彼女の傘は、手に握りしめられたままだ。 夏だけど、雨に濡れて寒さがある。 寒さのなかに、彼女の暖かさがある。 別れ際、急にキスをしてきた。 「ありがとう、じゃまたね!」と言って、彼女は帰っていく。 それにしても、キスをされるとキスを返したくなるのは、何故だろう? そうしたとき、ほっぺに返すのか、くちびるに返すのか、いつも迷う。 ゆっくりすればいいのに、ちょっとあせって、 キスする場所が、くちびるからちょこっとずれちゃうのは何故だろう。 別れた後、左手には、やわらかな暖かさが残っている。 くちびるにも、久しぶりのキスの感触が、ずっと残っている。 「チョンシメソ カセヨ、、」耳には、彼女の最期のセリフが甘く響いている。 見上げると、街の明かりの反射で、上のほうに明るさが残ってる。 明るい雲の中から雨が落ちてくる。雨の日も悪くはない。 雨の日は、雨の日の楽しみがある。 記:とらのこども PS 雨の日には雨の日の楽しみがありますよねって、知人にお伝えしたく、 雨の日の楽しみのひとつを書いてみました。残念ながら、作り話です。 恋人同士が別れるとき、なんていうんだろう? 誰か教えてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.07.19 13:48:13
[詩歌のようなもの] カテゴリの最新記事
|
|