テーマ:☆詩を書きましょう☆(8465)
カテゴリ:詩歌のようなもの
新入社員も入社後、そろそろ5ヶ月。5月の連休は少し緊張感ただよう休みだったのに、
夏期休暇ともなると、当然のように休むことができるし、懐かしいものとの邂逅もある。 都会の会社員暮らしの最初はとまどいもたくさん。出会いもたくさん。 でも手元資金が潤沢な者は少ないのではないか。少なくともmomoはそうだった。 歓迎会の飲み会もあり、同期や先輩のお誘いもたくさんあった。 食費を削って参加して、飲んで、おしゃべりした。希望があふれんほどあり、 新しい仕事もあれこれと指示を受けて、毎日いそがしく、楽しく過ごしたものだ。 久しぶりの帰省。家族、友だちと会う。 ご仏壇に手を合わせ、みなで墓参りに行く。花を取替え、水をかける。 手を合わせる。汗をふいて空を見上げる。まっしろな雲が、大きい空を渡っていく。 墓の上の斜面は、葡萄畑になっていて、薄暗い棚のしたに房が垂れている。 手前の植え込みには、小さい糸杉。川の横には百日紅(サルスベリ)の赤い花が揺れる。 すこし前まで学生だったのに、、、 もすこし前まであなたといつも一緒だった。汗をかいてボートを漕いだ。 アジア選手権大会で、momoがフリーカヤッククラスで1位になったとき、 真っ赤な顔で一緒に喜んでくれたあなた。 インドのボパール・UPPER LAKEは、遠い未知の国だったけど、全然さみしくなかった。 小学校のときからいつも一緒だったあなたが、自分の分も、私の分も一生懸命で、 ほんと今から思い出してもおかしいくらいだった。 先に卒業し、大手電気部品メーカーに就職した先輩。 試験・開発担当として、すっごい頑張ってる話しを聞いて、すごいなあと尊敬してた。 だって、学生と社会人じゃあ格が違う。本当に仕事するってどんなだろうって思った。 いつか、私も東北まで追いかけるんだ。そう決めてた。 学校近くにA君の家があり、そのすぐ前がコンビニだ。 8月15日の昼過ぎ。A,B,C。それからわたしとがコンビニで待ち合わせる。 「Aくんさあ、目の前が家なのになんで最後になんのよ。」Bちゃんがぼやく。 彼女はいつもリーダーで、いつも一番乗り。情報も早い。 「わたしね、就職して初めて四国に帰ってきて、つくづく四国っていいなあって 思ったよ。なんていうか、身体のこわばりがとれるんだよね。」 「仕事してるときとか、休みもあるし、緊張している自覚はなかったけど、 やっぱ、緊張してるんだわ。帰ってからわかった。」 「momoはさあ、銀行だから気を遣うんじゃない?」Bちゃんがいう。 「私ね、今日みんなで集まるの、楽しみだった。変でしょ?」 A君とC君がそろった。 「僕たちも、楽しみにしてたー。」声を揃えて言う。 (変なやつ。もうバカ!) 「momo、僕たちが今日はエスコートするよ。」 四人でA君の車に乗り込む。あなたの実家へ行く。 1年ぶりだけど、すっごい久しぶりのような気がする。ドキドキするよ。 到着して、家の横の空き地に車を止める。 「こんにちは~。」Bちゃんが玄関先であいさつする。 笑顔でお母さんが出てきた。「まあ、あなたたちお久しぶりねえ。」 「元気にしてたの?、、そう就職なのねえ。どうぞ、どうぞ。」 「momoちゃんも久しぶりね。まあ、きれいになったわ。」おばさんがいう。 「はい。こんにちは。おばさまもお元気ですか?」と元気に答える。 「雄二もよろこぶわ。さあ、あがって。」 「そうそう、あのとき。バイクで事故したでしょ。 あのときも皆さんが見舞いに来てくれて。お医者さんが全指突き指(ぜんしつきゆび) だって言うから、私が聞き間違って、皆さんに”全身突き指で重態”って言ったでしょ。 「もうね、お見舞いをたくさんいただいてたいへんだったの。」 「雄二が一番困ってた。」 「母さん、”全身突き指で重態”の説明だけで、30分もかかるんだぜ。」 「全身突き指って、何だよ。わけわかんなくね?」「ほんと、困るよ。」 困ったような、うれしそうな顔で雄二がいう。 両手は包帯でぐるぐる巻き。親が見てもおかしい。 駐車してる車にぶつかって、両手全部の指を突き指しただけだって、ほんと良かった。 帰省して、家族、友だちと会う。 お世話になった雄二先輩のご仏壇に手を合わせる。会社の独身寮で急死されたそうで、 このお盆が、初盆だった。お母さんは泣いてらした。 「あの子はね、ほんとわがままで、私の言うことなんて何も聞かなかったのよ。 最後のときも、ある日突然で。この部屋も高校のときと同じままでしょ。」 おかあさんに玄関まで見送りを受け、私たちは辞去した。 ゆっくりと、隣りの空き地まで歩く。 も一度、手を合わせる。 汗をふいて空を見上げる。まっしろな雲がひとつ、大きい空を渡っていく。 momoは、また都会に戻る。 がんばって仕事するんだ。帰省するたび、何かをもらって都会に戻ることだろう。 みんなと別れるとき、 「じゃっ!」と言って、右手の親指を立てて別れた。言葉なんて必要なかった。 A君だけ、みんなが帰るのをいつまでも手を振ってた。 A君は高松でサラリーマンしながら、ライブハウスでボーカルやってるらしい。 今度、ライブを見に行く約束をした。京都の磔磔への行き方 聞いときゃよかった。 おわり。 今回も小説のようなもの。お盆の帰省がテーマ。 田舎から何かを受け取って、またがんばって欲しいなあと思います。 記:とらのこども お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.19 11:14:10
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