おフネさんか紅子さんか
長らくご無沙汰しております。どうも、麗月です。最近着物にハマってます。実は先日、ラーメンを作って食べようとして転倒し、持っていたラーメンのスープを被って右腕が悲惨な状態になってしまいました。包帯ぐるぐるまきになった右腕を不自然でなく夏場でも袖で隠した状態で動いたり、治療する時に服を脱がずに袖からの出し入れができたりするので火傷の治療で通院する時は着物です。綿の単や浴衣着て帯締めて靴や下駄で出掛けます。通院してそのまま職場に向かったこともあります。職場の方から言われたんですが、着られなきゃそういう発想は出てこないよ?と。まぁ、半幅帯で文庫や貝ノ口、カルタ結びで、襟元が開きがちな幕末に撮影された風俗写真みたいな着方になってしまってるんですけどね。子どもの時から着物を着るのが好きで、腰ひもがない大人の着物の着方を浴衣やウールで覚えて、大学の部活(能楽)で合宿で浴衣をジャージ代わりに着倒して膝が出る…なんて経験をしています。そんなだから成人式の着付けの時はウールのアンサンブルを着て草履履いて行きました。娘時代に晴れの場はほぼ振袖でしたし、両親を見送った時も喪服でした。 そういう訳で最近は洋服の他に着物であちこち出かけています。 普段のお出かけで着物が選択肢の一つになって思ったのは、着物だと目立つ。普段着や作業着として着物を着る人がいかに少ないか、です。 ケとハレでいうとハレの時、冠婚葬祭で着物姿は珍しくない。何かのケジメを着ける時に着物を着る。 後、職能で着る。僧侶や神官、伝統芸能関係、料亭や割烹でサービス業に従事する人。 最後は伝統競技のユニフォーム。剣道、弓道、合気道、古武道辺り。相撲はどちらかというと僧侶や神官に近いかも。近代的なものだけれども、競技かるたもありましたね。着物があんまりにも特別になっていて、着ないってのも問題のひとつかな。もっと気軽に着られてザブザブ洗えたらいいのに…と思った次第。洋服と着物の違いを考えたら、 気軽に着られるのって大事なんですよ。普段着られる、選択肢にできるってなればもっと裾野が、市場が広がると思うんです。 『刀剣乱舞』とか『鬼滅の刃』とか、他には『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』とかいい機会にはなってるとは思うんですけどね。お祭りの時や特別な時でなく普段の暮らしの中で着る文化が大事。 着る時どうするか、どう振る舞えばいいのかとか、どんな物が必要になるかって知ってる人がどんどん減ってる。たすき掛けとか裾っ端折とか、下手すると帯を知らないって言うんです。唸りました、正直。 着物の文化って『おりがみ』に似てると思うんです。織られた布の形を生かして身に沿わせて結んだり折ったりして着る文化。時代によって柄や仕立て方に流行りがあって、どんな個性的な柄でもフォーマットに乗れば着こなすことができる。帯の結び方や着る時の紐の処理で様々な表現が出来る。 日本文化の強みである相手に添う心遣いや工夫の根本のような気がします。大事な事を外さず、自分を保った上で相手を尊重して寄り添う事、工夫する事。加えて、物を大事に扱い、長く保つ事。選択肢にできる技術や知識の伝播。そこが大事なんだと思いました。