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テーマ:お勧めの本(7397)
カテゴリ:読書
日本古典文学の代表作、『源氏物語』 平安朝の時代に、紫式部によって書かれたといわれる、54帖からなる長編である。 私は、古典のテキストとして、阿部秋生校訂による『完本源氏物語』(小学館)を1冊持っている。 『源氏物語』は橋本治や谷崎潤一郎、瀬戸内寂聴など、様々な人たちの手によって現代語訳され、 今でも読まれ続けている人気の作品である。 もちろん古文で読むのが1番よいけれども、 京ことばで訳された珍しい『源氏物語』〔中井和子 訳(大修館)〕もあり、 なかなか興味深い。 きりつぼの冒頭部 いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまいける中に、 いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり。 はじめより我はと思ひあがりたまへる御方々、 めざましきものにおとしめそねみたまふ。 同じほど、それより下らふの更衣たちはましてやすからず。 これを京ことばに訳すと・・・ どの天子さんの御代のことでござりましたやろか。 女御や更衣がおおぜい侍っといやした中に、 そない重い身分の方ではござりまへんで、 それはそれは時めいといやすお方がござりました。 はじめから、ご自分こそはと自惚れをもっといやすお方々は、 出すぎた女(しと)やと、さげすんだり妬んだりしておいでどす。 同んなじぐらいやら、もっと下の更衣たちは、なおさら気が休まりまへん。 といった具合になるわけです。 当時の平安朝の人々がこのような話し方をしていたかどうかわからないが、 京ことばは柔らかく、ユーモアもあって、楽しめる訳本である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
April 2, 2006 06:57:07 PM
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