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カテゴリ:読書
重松清さんの長編小説を、初めて読んだ。
せいのりさんが以前、ブログで紹介していらしたので、興味を持ち読んでみた。 私は甲子園で育ったので、甲子園球場は身近な存在だった。 しかし、その甲子園は、全国の高校球児たちにとっては大きな憧れであり、 「熱球」に思いを込めた青春なのである。 地元で過ごした高校時代、甲子園を目指して日々練習に励んでいたヨージが、 20年の年月を経て、故郷に帰ってきた。 妻は、ボストンの大学に留学。 アメリカに一緒について行くはずだった小5の娘も、 なぜか父親と共に、故郷について来ることになった。 20年前・・・ 弱小チームだったシュウコウの野球部が、 ツキと勢いだけで、ついに甲子園への切符が手に入るという、決勝にまで勝ち進んだ。 夢見てはいたが、実現できるとは誰も信じていなかった甲子園行き。 それが、あと1勝で実現するのだ。その事に街中が興奮し、沸き立っていた。 ところが決勝の前日、思わぬ事件が起こり、 野球部は決勝戦を辞退せざるを得なくなってしまう。 夢は、一瞬にして、もろく崩れ去ったのだ。 それまで、野球部の快進撃に盛り上がっていた町の人々は、 途端にそっぽを向き、シュコウ野球部を非難し、敵視するように・・・ ヨージは、そんな町が、人々が大嫌いになり、高校卒業した後東京に飛び出した。 しかし、20年後、失業を機に今後の身の振り方を考えるために、帰郷したのだ。 ヨージにとって野球部での出来事の傷は深く、当時の野球部の仲間と会うのもためらわれ、 会ってもなお、なかなか心がほぐれない・・・ ヨージは、母を失った父の事を気遣いつつも、一生田舎に骨を埋めるべきか、 やはり東京に帰るべきなのか、決心がつかないでいる。 娘のため、自分のため、そして家族3人のためにどうすべきか、 妻が日本に帰ってくるまでに、答えを出したいのであるが・・・ 田舎の、よそ者を排除しようとする閉鎖的なあり方、 狭い街での噂やおせっかいに、うんざりするヨージ。 しかし反面、暖かさや人のよさも田舎にはある。 優柔不断な、主人公は、人生の岐路に立たされ、 20年前の苦い出来事と向き合い、自分を見つめ直すのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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